23 メトリシパピルスに血を流し込みランクを測ると、Eランクだった。

「相変わらず、人使いが荒いなあ、僕は考え事で、忙しんだ。」

 男は、頭を掻きながら、歩いてきた。




 高身長、180cmほどだ。



 丈の長い、オレンジ色の生地に、青色の立体感のある襟のシャツを着て、青いデニムのカーゴパンツを履いている。



 

 卵顔で、大きな二重の丸目をしている、鼻筋がよく通ったギリシャ鼻で、四字型の厚い唇をしている。




 どこか、物憂げな雰囲気を出している。




 「おー来た来た。さっそく、新入りくんの、ランクを測ってあげてよ。」

 アルトは、男の背中を叩いた。




 「新入りくんねえ。」

 男は、僕の方を向いた。




 「どうも、ロネです。」

 僕は軽く会釈した。




 「ああ、どうも、メトルだよ。」

 メトルさんは、返した。




 「じゃ、やるか。この紙に、君の血を流してくれ。」 

 メトルさんは、ポケットから、A6サイズほどの小さな薄茶色の紙を取り出した。




 「はい。」

 僕は、紙を受け取った。




 ポタ。




 血を紙に流し込む。




 やがて血が、形を変えていった。




 Eと血で、描かれる。




 「Eランクだね。ま、最初だから、当然か。」

 メトルさんは、言った。




 「メトリシパピルスという紙だよ。こいつで、ランクを測る事が出来るんだ。ランクが上がれば、かってに、紙に書かれた文字も変わる。」

 メトルさんは、続けた。




 「へえ。」

 僕は、Eと赤い血で書かれた薄茶色の紙を眺めた。




 「メトリシパピルスの後ろに、君の身長と体重、性別、誕生日、遺伝子情報が載っているよ。」

 メトルさんは、言った。




 名前 ハート・A・ロネ




 身長 121.01cm




 体重 23.02kg




 性別 男




 遺伝情報 ;l」・、:;、「@;「;、「428704,;、504,@@3;l…




 遺伝情報は暗号になっていて、よくわからなかった。




 「最後に、ミーロ星に現れた滅死壊の位置と、滅死壊の情報を教えてくれる、アプリの入ったスマホと、腕章をプレゼントするよ。Eランクは緑色だ。」

 シルクは、演台の上に置いてあるスーツケースを開けた。




 シルクは、スーツケースから、スマホと、エイレーネ団という文字が黒色で入った、緑色の腕章を、取り出した。




 「はい。」

 シルクは、僕に手渡した。




 「ありがとう。」

 僕は、スマホと、腕章を受け取った。




 「腕章の色は、E級が緑、D級がオレンジ、C級が黄色、B級が青、A級が赤、S級が紺、SS級がピンク、5傑は紫よ。」

 アルトさんは、言った。




 「はい。わかりました。」

 僕は、返した。




 「じゃ、もう帰ってよいぞ。今日は疲れただろう、ゆっくり休むことじゃ。」

 シルクさんは、言った。




 集会場を出た。




 白い空間を歩く。




 「改めて、入団おめでとうロネ。」 

 リリは、僕を祝った。




 「どうも。ははは。」

 僕は、苦笑した。




 「ふふ。エイレーネ団は、つらい時もあるけれど、やりがいのある団だよ。それに、団に所属している方が、安全な事も多いよ。」

 リリは、言った。




 「だろうね。一般人でも、多くの死者が出ているわけだし―。」

 僕は、返した。




 「と、いうより、どこから、外に出られるんだ?」

 僕は、きいた。




 「こっちよ。ちゃんと出口があるの。」

 リリは、歩く足を速めた。




 「ここよ。」

 リリは立ち止まった。




 赤いアンティ―クな扉があった。




 「こんな、扉、あったっけな?」

 僕は言った。




 「来た時は、ないわよ。帰りは、この扉から帰るの。」

 リリは、答えた。




 「へえ。」

 僕は、頷いた。




 ガチャ。




 扉を開けて、中に入る。




 ああああああああああああああ。




 グニャリ。




 周りの空間がグニャリと崩れた。




 来た時と同じ奇妙な感覚に襲われる。




 「あれ?ここって―。」

 愕然とした。




 来た時と同じ場所にいた。




 ガーレリア・ロンド街の、少し暗いオレンジ色の壁の、三階建てで、5000平米程度の、四角いモダン建築の、建物の中であろう。




 ボブ茶髪で、白黒ボーダーのオフィスベストを着た受付嬢が、いた。




 「お疲れ様でしたあ。」

 ボブ茶髪の女は、頭を下げた。




 それにつられて、僕も頭を下げる。




 「誰なんだ、彼女は?」

 僕はリリの耳元で、小声できいた。




 「ああ、ルリさんよ。エイレーネ団の一員よ、確かAランクで、白い空間との行き来する為の、道を管理している人に一人よ。」

 リリは、返した。




 「へへへ。どうも、ルリです。」

 ルリさんは、柔らかい表情で、笑った。




 「ああ、どうもロネです。」

 僕は、返した。




 「あ、ところでどうして、ガーレリア・ロンド社から、白い空間に繋がる道があるんだ?」

 僕はリリの方をみて、きいた。




 「ああ、ガーレリア・ロンド社は、120年ほど前、エイレーネ団が、はじめた会社なのよ。歴代の団長が、取締役をするようになっているらしいわ。」

 リリは、答えた。




 「ふうん。そうだったんだあ。」

 僕は返した。




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る