魔王に襲われ世界は破壊されました。18年前のミーロ星に転生すると魔法が使えるようになってました。滅死壊を倒すために、PSE能力者、剣士、勇者、魔術師、令嬢、師匠を仲間にし魔法でジュースにして飲みます。
12 ミーロ星からの贈り物 保育園のアカネさんと、天才児アルル。
12 ミーロ星からの贈り物 保育園のアカネさんと、天才児アルル。
2026年、5月21日、木曜日。
産まれてから2年と半年が過ぎようとしていた。
「いい天気だなあ。」
青い空を見上げて、声を出した。
家の外に広がる、果樹園に出る。
林檎の木の下で寝転がった。
「不思議な果物の実だなあ。」
果樹園の木々をみて、呟いた。
青色の林檎、金色の林檎、紫色の林檎。
赤い檸檬、緑の檸檬、青い檸檬。
白いすもも、橙色のすもも、金色のすもも。
不可思議な、果物が、実っている。
季節でなくても、実っている。
地面に落ちている、赤い林檎を拾って、食べた。
「美味い。」
思わず、顔が綻んでしまう美味さだ。
前世では、食ったことのない、衝撃的な味。
エネルギーが身体の底から湧いてくる。
「なんだ?この林檎は。」
宝石のように、固く美しい林檎があった。
金属のようだ。
柔らかい、粘土のような、すもも、があった。
不思議な果樹園だな。この星じゃ、常識なのか?
林檎が、手から出せそうな気がした。
わからない。
僕には、隠された能力がある。
次第に、確信に変わっていった。
力を込めてみた。
「えい。」
僕は、左手に力を集中して、強く林檎をイメージした。
左手の開いた掌から、赤い林檎が、現れた。
「な、なんだ?」
僕は、掌の上を浮いている、赤い林檎をみつめた。
場所を念じる事で、林檎を自在に移動させる事もできた。
「魔法みたいだ。」
僕は、呟いた。
林檎を消すことはできるだろうか?
林檎が消えるイメージを念じた。
「消えた。」
僕は目を疑った。
物理法則を反している。
魔法だ。
転生前の世界で、魔術師や、超能力者、神通力者たちのみせた、魔法の一種ではないのか。
「僕も魔法が使えるように、なったのか?」
林檎を出したり消したり、移動させて、言葉を発した。
林檎を動かす速度を早くしたり、遅くしたりもできるようだ。
林檎を出すことが、何の役に立つのかは、いまいちわからなかった。
2027年、4月1日、木曜日、朝7時14分。
3歳になった。
「ロネ、保育園に行く準備はできたか?」
父は言った。
「だるっ。」
僕は返した。
「だるい、だなんて、言わないの。保育所とか幼稚園に行くと、発育にいいってネットで調べたら出て来たのよ。そういう研究もあるらしいわ。」
母は、困った様子で、答えた。
「母さん、困った顔しないでよ。仕方ないなあ―。」
僕は、覚悟を決めた。
「ロネは、3歳のわりに語彙も、精神性高すぎる。」
父は、僕の頭を撫でで、笑った。
ギフテッドねえ、そりゃ転生してから、3年、合わせて27年、生きているんだ、年齢に見合わない精神性と知性があるのは、当然だろう。
「そりゃあねえ。あたしたちの子ですもの。」
母も笑った。
「えへへ。」
僕は、照れた様子で髪の毛を触った。
「ロネに保育園は退屈なものに、なるかも知れないが、友達ができるやも知れんし、楽しい事が見つかるやも知れん、経験にもなるしな。」
父は、諭した。
「厭になったら、やめればいいのよ。」
母は、言った。
「じゃ、行きますか、保育園。」
僕は、園児服に着替えた。
保育園には制服と体操服があるらしかった。
制服の着用は自由で、私服でもいいらしいが、制服の方が目立たないし楽なので、制服に着替えた。
真ん中にボタン三つの、紺色のブレザーとズボンに、黄色いボーラーハットの制服だ。
保育園の名前は、サン保育園というらしい。
車で、10分ほどすると、保育園に着いた。
「じゃ、無理しない程度に、楽しんできてね。」
母は、僕を送り出しました。
「厭だったら、父さんに電話するんだぞ。」
父は、まだ3歳児の僕に携帯電話を持たせて、帰りました。
保育室に入る。
奥から、保育士の女が、ニコニコと笑って話しかけてきました。
若い、20代前半かな、前世の僕と同じくらいの年頃にみえた。
赤茶色の長い後髪をポニーテールにしている、ベース型の顔で、ヘラを横髪で隠してポニテが似合ってみえた。
大きなアーモンド目に、厚い唇に、ギリシャ鼻で、整った顔をしていた。
白めのファンデーションで、ピンクのアイラインに、ピンクの口紅を付けている
「はじめまして、おはよう、お名前を教えてもらえるかな?」
保育士の女は、腰を低くして、僕に目線を合わせて、言った。
「ロネです。」
僕は手短に答えた。
「ロネくん。これからよろしくね。あたしは、アカネ。みかん組の担任だよ。」
アカネさんは、目を細めた。
「どうも。こちらこそ、お世話になります、よろしくおねがいします。」
僕は、深々をお辞儀をした。
アカネさんは、目を丸くして僕をみていた。
「わからない事や、困った事があったら、気軽に言ってね。」
アカネさんは、言った。
「組って、どうなってるんですか?」
僕は質問しました。
「0歳が桃、1歳がいちご、2歳がさくらんぼ、3歳がみかん、4歳がぶどう、5歳が林檎だよ。」
アカネさんは答えた。
「へえ、ありがとうございます。」
僕は、礼を言った。
「君、ちょっと、成長早すぎない。話し方とか、大人じゃん。」
アカネさんは、ちゃかすようにして言った。
「そういう子供もいるんじゃないですかね、珍しくもなんともないですよ。」
僕は答えた。
午前8時15分。
「朝礼するわよお。元気か確認するね。」
アカネさんは、園児を集めると、一人一人、の体調をきいて回った。
朝礼が終わると、体操をした。
音楽に合わせて、身体を動かした。
体操が終わると、昼食まで自由時間だった。
ブロックで遊んだり、遊技場で、走ったり、クレヨンや色鉛筆で絵を描いたり、折り紙を折ったり、園児たちは、自由に遊んでいた。
僕は、園児たちが、遊んでいるのを、眺めていた。
眺めながら、絵を描いていた。
林檎の絵だ。
前世の家族の絵だ、恋人の絵だ。
滅死壊の絵だ。
魔術師、超能力者、神通力者の絵だ。
なんだか、悲しくなってきた。
「一人で、なに描いているの。」
長い背中まで伸びた赤髪に紫色のローブを着た、園児の女の子が話かけて来た。
「絵だよ。」
僕は答えた。
「へえ、不思議な絵だね。」
女の子は笑った。
「君は、誰ですか?」
僕は、たずねた。
「誰って、失礼だね。ま、初対面だけれど、気になって話しかけただけだ。」
女の子は、ムスッとして答えた。
「ごめん。名前は?」
僕は、謝った。
「アルルだよ。」
女の子は、答えた。
「いい名前だね。」
僕は言った。
「君は?」
女の子はきいた。
「ロネだよ。」
僕は答えた。
「ロネねえ。かわいい名前だね。」
アルルは、にっこり笑った。
「男だけれどね。」
僕は言った。
「いいじゃない。男でもかわいくたって。オレだって、男の子だし。」
アルルは、高く女のような声と、容姿で、返した。
男の子だったのか、どうみても女の子にしかみえなかった。
「女の子かと、思ってたよ。」
僕は、驚いた様子で言った。
「だろうね。大人にも、よく間違われるよ。」
アルルは、眉をひそめた。
「ははは。かわいいねえ。」
僕は、笑った。
「女ってのは、いい。オレは女みたいに、綺麗にかわいく、美しく、なりてえんだ。」
アルルは言った。
十分、かわいく、美しく、綺麗な人に思えた。
むしろ、3歳児にしては、あまりにも、大人過ぎているような気がした。
僕が、知らなかっただけで、世の中には、ずっと賢い人がいる。
幼児でも、知能が大人より、優れている人もいる。
きっと、アルルは、特殊例なのだろう、3歳であれだけ、話せて語彙力や考えがはっきりしている人は、はじめてみた。
僕には前世の記憶があるけれど、彼にはないのだ。
12時15分
昼食を食べた。
昼食は、レシピの中から選んだ好きなものを、作ってくれる機械が作ってくれる。
もちろん栄養バランスは、考えられている。
いいシステムだな、と思った。
前世ではなかったものだ。
鮭のムニエル、野菜サラダ、ご飯、みそ汁にした。
正直、言って、美味い、保育園の味ではなかった。
昼食を終えた。
歯磨きをした。
午後は、外で、自由時間ということだった。
保育所の敷地内にある、遊び場の範囲内で、自由に過ごせということらしい。
ブランコだとか、鉄棒だとか、滑り台、ジャングルジム、砂場などの遊具がある。
ベンチがあり、くつろげる場所もある。
公園みたいなものだ。
芝生が広がっている、ある程度自由に走り回る事もできる。
僕は、やることもなく砂をいじっていた。
いじっていると、アルルが来て、一緒に、お城を作った。
「まあ!!!凄いわね。」
アカネさんが、砂の城をみて、驚き、目を見開いた。
「ははは、アカネさん、かわいい。」
アルルは、アカネさんの驚く様子をみて、無邪気に笑った。
「もう、アルルくんは、あたしをからかって!!!。大人顔負けの、砂の城なんか作っちゃって、君たち、ほんとに保育園児?、びっくりしちゃうわ。」
アカネさんは、呆れた様子で、僕たちを見比べた。
「アカネさんは、かわいいんだね。」
僕は、アカネさんをみていった。
どうやら、アカネさんは、表情豊かで、かわいい、親近感の沸く、女性らしい。
4時に、保育園が終わった。
両親が迎えに来た。
「ロネ、どうだった、保育園は、楽しかったか?」
母は、僕を抱っこした。
「ロネええ、元気そうでよかった。心配したが、上手くやれてそうだなああ。」
父は、僕を撫で散らかした。
「ロネの両親って親バカなんだね。面白いや。」
アルルは、保育園に行っただけで、褒めちぎられる僕をみて、笑った。
「ロネちゃん、あの子は、お友達かしら。」
母は、たずねた。
「すごいじゃないか、ロネ。友達ができるだなんて。」
父は、歓喜した。
母と父はアルルをみて、僕に友達ができたと喜んだ。
「ははは。」
僕は苦笑いした。
「大変だねえ。」
アルルは、僕たちをみて、にやにや、笑っていた。
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