ミーロ星に転生!? ロネ誕生から6歳まで 

9 おぎゃああ! 転生!? 僕の名前はハート・A・ロネ

 あたたかい。




 死んだんじゃなかったのか?




 優しい声がきこえる。




 ロネ?




 誰の事だろう―。




 どれくらいの時が経ったのか、わからない。




 あたたかく、心地よい、水の中で、守られていた。




 「痛い、痛い、うう。」

 女の、苦しそうな声がきこえた。




 「もうすぐですよお。」

 女を励ます、別の女の声がきこえる。




 「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ。」

 ん?おぎゃあ???僕、何言ってんだ。




 前がみえない、目が開かない。




 不思議な感覚を覚えた。




 優しい手が僕を撫でた。




 頑張って目を開ける。




 僕を抱きかかえる女と、僕と女の姿を見守る男がみえた。




 「産まれたのか。」

 男の幸せそうな、歓喜の声がきこえる。




 誰だ、この人たちは???




 僕は、生まれ変わったのか。




 「元気な男の子ですよお。」

 女の声がきこえる。




 助産師か。




 僕は、母親の胸の上で、おぎゃあ、おぎゃあ、と泣きながら呆然としていた。




 何が起こっているんだ。




 しばらくすると、助産師の女は、僕を抱きかかえ、機械装置のついたベッドの上に乗せた。




 知っている、本でみたことがある。




 インファントウォーマーだ。




 生まれたばかりの赤ちゃんの体温を温める為の装置のついた、ベッドだ。




 あったまるなあ。




 助産師の女は僕を隈なく、チェックした。




 聴診器を取り出すと、僕の胸に当て、心音と心拍を確認した。




 「大丈夫だね。」

 助産師は、うなづいていった。




 体温計を取り出すと、僕を仰向けにした。




 ブスッ。




 あんっ。




 尻穴に、体温計を刺された。




 僕は犬か!?




 心の中で突っ込んでしまった。




 そういえば、本で読んだ事があるが、赤ちゃんの体温は、肛門から測るんだったっけな。




 「37度1分、うん、平熱ね。」

 助産師の女は、体温をみて、うなづき、笑った。




 助産師の女は、メジャーで、僕の頭周りと、胸周りを測り、目薬を差した。




 確か、目薬は感染症対策だったっけ。




 急に眠たくなって寝た。




インファントウォーマーのベッドで、一日を過ごした。




 次の日、男の医者が来て、診察された。




 「元気な子だ。」

 男の医者は、にっこり、笑った。




 みかん、のような味のする、シロップを飲まされた。



 

 ビタミンKの不足による、出血症の予防で、ビタミンKシロップとかいう、のを生後一日目の赤ちゃんに飲ませる事があるというのを、思い出した。




 医者からの診断を終えると、母のいる、入院室に移動した。




 母は、僕をみると、にっこり、笑った。




 母の手は優しかった。




 抱っこをされ、母の寝転んでいる、横にきた。




 まだ、首も据わってないし、もちろん、歩くことも、話すこともできない。




 「かわいいねえ。」

 母は、僕の手を優しく指で摘まんだ。




 頬を摺り寄せた。




 「君の名前は、ロネだよ。ロネ、まだ、わかんないか―。」

 母は、僕の方をみつめた。




 「私は、ポーラ。ハート・A・ポーラ。君のお母さんだよ。よろしくねえ。」

 母は、微笑んだ。




 ポーラというのか。




 素敵な人だ。





 母は、出産後で、疲れている様子だった。




 「ポーラ!!!」

 父が、入院室にやって来た。




 「あなた。」

 母は、父をみた。




 「ロネの様子は、どうだ。」

 父は、心配そうに、僕を覗き込んだ。




 「ええ、元気よ。かわいいわ、かわいすぎてコワいくらいよ。アイドルや俳優になってもおかしくないくらいよ。」

 母は、冗談半分で、笑った。




 「ははは。にしても、可愛すぎるな、よしよし。パパだぞぉ。」 

 父は、僕を抱っこすると、優しく、揺らした。




 「父さんは、ルルっていうんだぞお。ハート・A・ルルだぞお。よろしくなあ。生まれてきてくれてありがとうなあ。」

 父は、僕を抱っこしながら、涙を流していた。



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