7 恋人との再会、ブレイク将軍現れる。
「ご愁傷さまでしたね。冥福をお祈り申し上げます。」
看護師の女は、深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。」
僕は礼を言った。
恋人の杏桜衣は無事だろうか。
杏桜衣に会いに行くために、家族から離れた。
「杏桜衣は、どこにいるんですか。」
僕は、神通力者の女に、きいた。
「彼女だったら、すぐ近くにいるよ。」
神通力者の女は、答えた。
「飛ばしてあげようか。」
超能力者の男は、言った。
「お願いします。」
僕は、首を下げた。
「ああ、容易い事さ。」
超能力者の男は、僕の肩に左手を乗せた。
目の前に杏桜衣がいた。
「龍一!?龍一なの、急に現れて、眩暈がするわ、何がどうなっているのやら―。」
杏桜衣は、驚いたように、カクンと首を下げ、額を右手の握りこぶしに当てた。
杏桜衣は無事なようだ。
よかった。
抱きついた。
「杏桜衣、会いたかった。ごめん。」
杏桜衣の匂いがする、無事でよかった。
「うん。」
杏桜衣は、僕の背中に、腕を回した。
「お熱い所、悪いが、滅死壊の動きが、妙だ。この辺りは危ないかも知れない。」
魔術師の男は、申し訳なさそうに、眉を顰め、僕たちを交互にみた。
「あ、」
恥ずかしくなって、僕たちはお互いに赤面した。
「ははは、仲良くていいねえ。二人ともお。」
神通力者の女は、ニヤニヤ笑って、僕たちを揶揄うように、みた。
「バカな事言ってないで、さっさと移動するぞ。」
超能力者の男は、指パッチンを鳴らした。
移動すると、家族のいる通路に出て来た。
「杏桜衣ちゃんには、会えたんだねえ。」
母は、僕たちをみて言った。
「にしても、奇妙な術を使うんだねえ。凄いよ。」
妹の、花央梨は感心したように、魔術師たちをみた。
ドッカアアアアンンン!!!
耳を痛める程の爆音が鳴った。
地下は揺れ、空間も振動している。
「なんだ、どうしたんだ。」
魔術師の男は、あたふためいた様子で、辺りを見渡した。
「―、まさか、結界が破られた。信じられねえ、僕の結界は、幹部クラスでないと、破れない。」
超能力者の男は、驚いた様子で、驚愕の色をみせた。
「感じる、あいつの気配だ。」
神通力者の女は、錫杖を構え、目を閉じ、言った。
シュウウウウウゥゥゥ!
ミョ、ミョ、ミョ。
ビキューン、ジャ、ジャ。
「こ、この音は―。」
魔術師の男は身構え、顔を強張らせた。
「ギャシシシシ。世界を核兵器で破壊し、花火のように星が爆発するのをみるのが、趣味なんだ。ゲハハ。地下に隠れても、わしの目は、胡麻化せんぞ、蟻んこども。」
悪魔のような笑みを浮かべる、テレビニュースやネットニュースでみたことのある、老人がいた。
悪名高き、ローレシア国の核兵器おじいさんこと、ブレイク大統領だ。
少し様子がおかしい。
オデコには、死、の文字が刻まれている。
頭の真ん中から、一本の角と、左右から、羊のような渦を巻いた角が二本生えている。
「滅死壊なのか?。」
僕は、ブレイク大統領らしき、化け物をみて、言った。
「やつは、滅死壊の中でも、強力な部類の存在、すべての滅死壊の中で、3番目に強い、ブレイク大統領は、自ら人間を捨てて、滅死壊になった、化け物だよ。」
魔術師の男は、ブレイク大統領を睨みつけて言った。
「じゃ、早速、手始めに水爆でもしますか。」
ブレイク大統領は、恐ろしい事を口にしました。
しかし、水爆なんてどうやってするのだろう。
核兵器なんて、見当たらないけれど―。
「出でよ、水素爆弾。」
ブレイク大統領は、大声で高らかに、両腕をぐるぐる回しながら叫びました。
デデドーン。
「なんだ、この奇妙な音は。」
奇妙な音がきこえ、全身で悍ましい寒気を感じた。
デデドーン。
デデドーン。
デデドーン。
「な、なんだよ、あれ。」
僕は目を疑った。
紡錘形の金属の塊が宙を浮いていた。
写真でみたことが、ある、核兵器だ。
紡錘形の、金属の塊の中には、水素爆弾が入っているのだ。
「アトミックボムでちゅよお。無限に爆弾、出せましゅよ。」
ブレイブ大統領は、核爆弾を次から次に宙に出していった。
地下空間が、埋まってしまうほどに、爆弾で溢れかえった。
「破滅せよ。」
ブレイク大統領は、化け物じみた笑みを浮かべた。
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