4 避難所の地下施設へ向かう。

「どりゃあ!!!。」

 魔法少女は、ワイバーンをぶち殴り、浄化した。

 

 

 

 「えいっ、どりゃあ。」

 勇者は、剣に雷を纏わせ、途轍のない威力の攻撃を放った。




 ゴオオオオ、シュパン!!!!




 ワニの顔と牙、顎。


  亀の甲羅


 テラノサウルスの巨大な足


 幻獣の類だろう。


 化け物は、勇者の剣撃によって、焼け焦げ、真っ二つに斬られた。




魔術師の男に至っては、指パッチンをするだけだ。




パチン。




ミノタウロスの化け物と、巨大しゃれこうべ、顔と身体は虎で、翼はプテラノドンのキメラが爆発し、辺りに花々が咲き、果物が実った。




 地下施設に向かう途中、化け物どもに遭遇しては、退治して、彼彼女らの強さを目のあたりにした。




 これだったら、人類も世界も大丈夫かも知れない、そんな希望を感じてしまうほどに強かった。




「ここの地下ライブハウスは、都市部の地下鉄にも、つながっている、さあ行こう。」

 魔術師の男は、三階建ての楽器屋の廃墟の前で、立ち止まると、言った。




三階建ての、ギター、ベース、ドラム、ピアノ、DTM機材を売っていた楽器屋の廃墟のようだ、地下にはライブハウスがあるらしい。




 楽器屋の廃墟のすぐそこにある、地下ライブハウスに繋がる階段を降りる。




 地下ライブハウスには、誰もいなかった。




魔術師の男が、ライブハウスの、ステージ裏の、更衣室の、壁のレンガをずらすと、ボタンが出てきた。




ゴゴゴゴゴゴゴ




 ボタンを押すと、床が抜けて、さらに地下に繋がる階段が出てきた。




 階段は真っ暗で、灯りは付いていなかった。




「ランボ。」

 勇者の男は、言った。




 ランボ?一体何を、言っているのだろう。




 ポニューンという奇妙な音が鳴った。




 ポ、ポ、ポ、ボワ。




 勇者の男の目の前に、光の玉が現れ、宙を浮いていた。




 「凄い。」

 僕は、綺麗な光の明かりに見蕩れていた。




 「簡単な、光魔法さ。」

 勇者の男は事も無げに、言った。




 勇者の男の出した、光の玉の明かりで、階段は照らされた。




 地下に続く階段を降りていくと、通路になった。




 「どれくらいの深さなんですか。」

 僕は、気になって、たずねた。




 「地下30mだ。」

 魔術師の男は答えた。




 この国の、平均的な地下鉄より少し深いくらいだった。




 通路を10分ほど歩くと、都市部の地下鉄に出てきた。




 いつもは人で賑わう、地下鉄は、やけに静かで、非現実的であった。




 「地下の避難所って、どこにあるんですか?。」

 地下鉄を歩きつつ、僕は、きいた。




 「地下、50mほどの所だよ。丸川駅から避難所に行ける。」

 魔法少女のお姉さんは、答えた。




 地下鉄の蛍光灯の明かりは消え、駅ナカの飲食店や、コンビニ、ATM、に光はなかった。




 「停電かな。」

 僕は呟いた。




 「世界中の発電所が襲撃されて、電力が供給出来なくなっているんだ。通信基地も攻撃されちまってるから、ネットも碌に使えない状態だよ。」

 魔術師の男は、言った。




 「へえ。困ったものですねえ。」

 僕は、返した。




 スマホで、時刻を確認すると、昼の1時半ごろだった。



 

 「ごあああああああ。」

 蜥蜴の頭に、蝙蝠の羽、ライオンの身体をし、蛇の尻尾を持った二足歩行の化け物が、現れた。




 「地下鉄にまで、滅死壊の化け物が―。」

 僕は、慄いて後づさった。




 バシンッ




 「どりゃあ!!!。」

 魔法少女のお姉さんは飛び膝蹴りで、化け物を仕留めた。




 「ふう、浄化完了と。地下鉄も滅死壊の化け物どもに占領されてるみたいだね。先を急ごう。」

 魔法少女のお姉さんは額の汗を肘で拭うと、歩き出した。




 丸川駅に向かって、地下鉄の空間を歩いていた、エレベーターもエスカレーター機能していない。




 動かないエスカレーターを降りて、丸川駅を目指していく。




 道中、滅死壊の化け物どもに襲われては、圧倒的な力で、退けた。

 

 

 

 丸川駅の改札には、誰もいなかった。




不思議な事に、駅には、滅死壊の化け物どもは、いなかった。




ゴゴゴゴゴゴ。




 魔術師の男は、駅のホームの壁に手をかざすと、小さな正方形の形に壁が下にズレ、正方形の穴ができた。




 赤色のボタンが埋め込まれている。




 ポチ、ズドーン。




 ボタンが押されると、壁に穴が開き、階段が現れた。




 階段を降りると、通路に出た。




 通路の両脇には、毛布や、ブルーシートを敷いて、毛布に包まっている人で溢れていた。




 避難して来た人たちだろうか。




 絶望し悲壮した表情で、誰も彼もが希望を失っていた。




 戦争から他国に逃れて来た、難民のようにみえた。




 「避難できた人は、どれくらいなんですか。」

 僕は、たずねた。




 「7割は避難できてるだろうよ。僕たち以外にも、世界中に、魔術師、超能力者、神通力者はいるんだ。それぞれが役目を果たし、避難させているだろうよ。」

 魔術師の男は、答えた。




 スマホで時刻をみると、午後3時を回ろうとしていた。


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