第8話 先、いや今
涅槃ブッダは考えた。
「もし、惑星メーテルを救えた場合、そのまま阿弥陀仏を打ちに行くか、を……」
「わたしらが星屑となった場合は三人如来様に後を託すことになろう……」
「もし、勝てたらやはり三人如来様に指示を仰ぐべきであろうか……相手が阿弥陀仏、私らだけで勝てる相手ではない」
先を考え、今を見失う悪い癖がでていた。
いかん。先ずは5分後を懸命に生きよ。
怖いのか?失うものがあるのか?恥ずかしいのか?後悔があるのか?涅槃の名が重荷なのか?もともと無理な役目だったのか?モグにいい所見せたい気持ちがあったのか?100万人の先頭などできやしなかったのか?私はまだバカと呼ばれいるか?私はまだまだ恨まれているか?私に生きる資格はあるかい?私は決して間違っていないか?私は真実へと歩いているかい?
前方に光が伸びて見えた。
「反射光でそのまま阿弥陀如仏を打つ!」
気持ちが固まった。幼い頃から気持ちが固まらないと行動できないたちであった。それはそれでよいと思われた。しかし、考えながら走るタイプには適わない時もあるとも思われた。
残り1分
30秒
10秒
5秒
3秒
1秒
0秒
ピカドン
──────────────────∞
力は五分五分であった。
「受け止めたぞ!!!」
涅槃ブッダは叫んだ。当然みんなの耳には届いていない。みんな必死だ。
「そうか、次、成すべきことはこの光が次に届く惑星を守ることだ。第2波の粉砕だ!」
「モグ、モグ!」
「はい~」
「光が次に届く惑星までの距離を測定してくれ!」
「え?! この状況で……はい~」
「先ずは今、勝つ」
五分五分の状況は暫く続いたが涅槃ブッダに《青い炎の後光が射し、2本の腕が伸び4本腕になる》と六分、七分、八部と優勢に転じ、遂には『惑星 メーテル』を照射する光を跳ね返すことに成功した。
この勝利はこれ以降の惑星への照射を激減することをも、もたらした。
「みんな勝利だ。10分休んでください。そしたら次の惑星に飛びます飛びます」
「モグ、モグ!」
「は~い」
「この状況を如来様にご報告してくれ」
「は~い、は~い」
「モグ、返事は1回!」
「は~い」
涅槃ブッダは自分にブッダの何人分のパワーがあるのか正確には知らなかった。今まで知る必要がなかったから知らなかった。その必要性が出てきた。五分五分の状況から自分に生まれた変化を鑑みるとブッダ何人では計れないかもしれないと感じていた。どちらにしてもまだ自分でコントロールできるレベルには達していなかった。
「10分経ちました。次の惑星『Cハ―ロック』に飛びます。付いてきてください」
「お~お~」
誰一人、涅槃ブッダの後を追わない者はいなかった。我先へと進んだ。
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