第5話 昔の記憶
今は、加藤さんと私しか歩いてない。誰もこっちを見ない。空も何時間か経ったはずなのに暗くならない。野良猫も、ありも、動かないし、寒くないし暑くもない。お腹も空かない。変な感じだ。
私は、加藤さんに謝ろうか迷った。でも、怖かった。何回も何回もふざけた態度で謝った人がもう1回謝ったって信じてくれるはずがない。しかも久しぶりの人に。
そう思った時、昔の記憶を思い出した。
1年前までは、ずっとずっと加藤さんに謝りたかった。でも、中々謝れない。だから私は未来の私に縋った。今はタイミングが悪いからって。
『チャンスがあったら謝ろう。』
その言葉を心の中で何回も繰り返して私に言い聞かせていた。でも、チャンスが何回かあっても怖くていつも何も出来なかった。
なんで怖いんだろう。
無視されるのが怖いのか。
許してくれないことが怖いのか。
いや、違かった。
『周りの目線が怖かったから。』
それが1番の理由だった。加藤さんを見かけても加藤さんは友達と一緒にいたから謝れなかった。1人の時もあったけど、逆に私が友達といたから謝れなかった。お互い1人の時が1回だけあった。でもやっぱり無理だった。
でも、今なら!
もう今しか言えない気がする。
「あのさ、」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます