第5話 昔の記憶

今は、加藤さんと私しか歩いてない。誰もこっちを見ない。空も何時間か経ったはずなのに暗くならない。野良猫も、ありも、動かないし、寒くないし暑くもない。お腹も空かない。変な感じだ。


私は、加藤さんに謝ろうか迷った。でも、怖かった。何回も何回もふざけた態度で謝った人がもう1回謝ったって信じてくれるはずがない。しかも久しぶりの人に。

そう思った時、昔の記憶を思い出した。


1年前までは、ずっとずっと加藤さんに謝りたかった。でも、中々謝れない。だから私は未来の私に縋った。今はタイミングが悪いからって。

『チャンスがあったら謝ろう。』

その言葉を心の中で何回も繰り返して私に言い聞かせていた。でも、チャンスが何回かあっても怖くていつも何も出来なかった。

なんで怖いんだろう。

無視されるのが怖いのか。

許してくれないことが怖いのか。

いや、違かった。

『周りの目線が怖かったから。』

それが1番の理由だった。加藤さんを見かけても加藤さんは友達と一緒にいたから謝れなかった。1人の時もあったけど、逆に私が友達といたから謝れなかった。お互い1人の時が1回だけあった。でもやっぱり無理だった。

でも、今なら!

もう今しか言えない気がする。

「あのさ、」

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