19. 素敵なオジサマ。

雪之丞ゆきのじょうくん…」

 いや、あの。

「コレ、どこにあった…?」

 目の前に、ボクの名前を知ってるヒトがいて、しかも志井しいさんよりも魅力的で。

 いや、志井さんとは別格な魅力があるオジ様で。

「コレ、ですか…?」

 布切れのような服で、窓掃除しようかと思ったら。

「そう」

 その服を引っ張るので、お渡しして、

「休憩室にありましたけど…」

 もしかして、

「志井ちゃんに渡したのに…」

 ヒドイ。って、語尾がオネエだな。

「ヒドイのはお前の…」

 自粛した志井さんの言葉は、聞こえたよ。

「志井さん…」

「志井ちゃんっ」

 志井さんに、何か言おうとしたんだけど、オジ様の行動に越された。

「さ、触るなっ!」

 スゴク拒否する志井さんが珍しくて、

「志井さんのコイビトですか…?」

 白目向いて、尋ねたら、

「俺はオッサンに興味ない」

 あっ。と何か思い出したかのように、

須貝すかいのタイプじゃないか…?」

 いやいや、いや、オネエはタイプじゃないです。

 大いに拒否したら、オネエ口調のオジ様が笑っている。

「雪之丞くんは、志井ちゃん一筋だわよね…?」

 そして、ボクのことを知っている。

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