13. 情緒不安定

「じゃあ、行って来ます…」

 ボクは、お留守番。

「いってらっしゃい」

 行かなくていいのに。

 不貞腐れながら言うボクに、

須貝すかい、一緒に行く…?」

 志井しいさんは行かないと言うボクの言葉を再度確認する。

「行きませんっ!」

 何かムカつくので、

「行きませんから…」

 二度言ったら、

「そんなに…?」

「嫌です」

 夏音かのんは、ボクが行かなくてもいいくらいのレベルだから行かない。

「志井さんの夢に出て来た夏音なんて助けたくありません」

「そうか…」

 早くいってらっしゃいとばかりに手を振るボクに、

「腹痛いと思ってたけど、須貝か…」

 そう呟きながらおなかを触り、指定位置に立つ志井さん。

「すまん…」

 そう言って、消えた。

「何で、謝るんですか…」

 謝る=認める

 だから、志井さんの夢に夏音が出て来たのは事実だとしても。

「言わなくていいじゃん…」

 バカ。

 志井さんのバカ。

 渾身の力で床を磨き、志井さんの落書した魔方陣を消してしまう。

「ゆきの、そっちじゃないぞ…」

 あれ…?

「夏音がいれば大丈夫だよ」

 戻れるよ。

「ゆきのが大丈夫じゃなさそうだけど…?」

 ん…?

 羽が出て来た。

「抑制が出来てないのか…?」

「いや、そんなことは…」

 ない。とも言い切れない。

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