11. 曖昧な核心

 暇つぶしに召喚するのは構いませんが、

陽之ひろゆき…?」

 何故、悪魔を召喚するのか。

 近くに、目の前に悪魔いるんですけど。

「ゆきの、俺は好きでココにいるワケじゃない」

 わかりやすい態度を取ると、そうストレートに言葉を発する悪魔に、

「わかってますよ…」

「アツに聞きたいことがある」

 志井しいさんが目的ありきで召喚するって、プライベートではあまりない。

「何…?」

 嫌なことを聞かされるのかアツの眉間のシワが半端ない。

「俺の記憶、須貝すかいとの記憶が…」

 志井さん、まさか…。

「ないのは、わかる…」

 嘘…。

 でも、その顔とココロは核心に触れていて。

「俺、何かしたのか…?」

「さぁ…?」

 悪魔はそう言うとニヤリと笑う。

「陽之が何かしたというよりも、ゆきのが何かしたんじゃない…?」

 ボクの顔を見ながら、

「ねぇ…?」

 ボク、何もしてない。

「してない…」

 首を横に振って、

「何もしてない…」

 志井さんを真っ直ぐ見つめる。

「須貝…?」

 ただ、志井さんが好きで。

 大好きなだけ。

 そう言えない言葉を噛み殺して、舌打ちをする。

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