8. 試着。

須貝すかい、コレはお前の…」

 ゴミを渡すような雑な扱いに、

志井しいさん…」

 少しは大切に扱ってください。と言いたげに、睨む。

「どうした…?」

 気に入らなかった…?と首を傾げる志井さんに、

「いえ、何も…」

 ただ、ボクの頼んでいた防具ではない。

「須貝の隙って、ほら…」

 いきなり、殴られそうになって身構えるが、志井さんはボクの弱点を知ってる。

 言ったことないのに。

「ココが甘い…」

 右側に隙が出来るのは、ボクの悪いクセ。

「うん…」

 全体的に右側の防弾を強化してもらったようだ。

 志井さんの指が、右肩をなぞる。

「ひゃっ…」

「そして、弱い…」

 志井さんがワザとしてるのはわかってる。

「や、めてくださいぃっ!」

 本当はもっとしてほしいけど。

「須貝、本当に弱いよなっ!」

 ゲラゲラ笑う志井さんが、何かムカついて。

「隙あり…」

 志井さんの弱点なんて、寝てる時に確認済み…ですよ。

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