6. 高校生の保護者、現る

「ゆーさん…?」

 何…?

「そんなに睨まないでくださいよ…」

 異次元空間はそのままだったのか。

「心配して来たのに…」

 ブツブツ言ってるアメに向かって、

「ありがとう」

 素直にお礼を言うと、驚いて、

日方ひがたさんに、ナニされたんですかっ?」

「何にもされてないよ」

 志井しいさんの中で、ボクとの甘い記憶が消え去っただけだよ。

「歯型、あるよ…?」

 その声の主の方を見る。

「じいちゃん…」

「孫がお世話になっております…」

 やけに他人行儀な父がいた。

「こちらこそお世話になっております…」

 ボクも他人行儀な返答をした。

「そして、久しぶりだな。雪之丞ゆきのじょう…」

 その笑顔に、騙されるものか。

「はい。お久しぶりです。お父さん」

 何か用事があって、来たんだろう。

 そういうヒトなのだ。いや、堕天使か。

「お父さん…?」

 寝起きの志井さんが、目を擦りながら現れる。

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