第16話 【閑話】 ミリィは遊びたいっ!!

 アレクとミゲルとの鍛錬から一週間経過した。この一週間も父上、母上、そしてアレク、ミゲルと共に鍛錬に励んでいたんだ。でも、今日は鍛錬は休みとなった。これには深い理由があったのだった……



一日前の鍛錬終わり……


「カイル、従者の二人はどうだ?」


「二人ともよく鍛錬に励んでいると思うよ。もともとの素養が高いのに、すごいと思う!」


「そうかぁ。やはりカイルから見てもあの2人は強く見えるか。俺もあの2人はこれから伸びる気がするな」


「そうだね。でも、父上からあんまり褒めちゃだめだよ? 2人とも緩んじゃうから」


「俺だってそれぐらいは分かるぞ!? まあでも、カイルは褒めてやれ。従者にとってはカイルからの誉め言葉が一番だからな」


「確かにそうかもね。これからは褒めるようにしていくよ」


 父上と話しながら歩いていると前から我が家の天使――ミリィがトテトテ歩いてきた。


「おとーさま! かいるおにーさま!」


「「(やばっ////// 可愛すぎて溶けそう)」」


「おう!お父さんだぞ? ミリィ元気か?」


「げんき!!! おとーさまは?」


「元気だぞ!」


 父上はミリィの目線に合わせるようにかがんでミリィと話している。本人は顔が緩むのを抑えているつもりだろうが、傍から見れば親ばかにしか見えない。父上ばかり話すなんてずるい!!


「おにーさまは?」


「元気だ!!! 抱っこしようか??(させてくれ!!!)」


「うん!!!(ニコッ)」


「「ぐはっっっ」」


「こっちおいで!!」


 抱っこしてもらおうとしてミリィは手を前に出しながら、僕の方に懸命に歩いてきている。近づいてやりたいけど我慢だ。ミリィの歩く訓練にもなるんだからな!


「ほぅら! 高い高―い!!」


「キャッキャッ!!」


 正直鍛錬の後で腕は限界を迎えている。が、しかーし!!! そんなことは関係ない! 今はミリィを笑わせることを一番に考えるんだ!!


そんなこんなで遊んでいるとミリィが


「おにーさまともっとあそびたい!!!」


 って言い始めた。明日も鍛錬があるから無理なんだけど、ミリィの願い事は断り切れない!どうしたものかと父上の方を見ると


「ミリィ、カイルは明日もお父さんと鍛錬があるんだ」


 さすがは父上、よく言った!


「いやだ!!! おとーさまのばか!!」


「なっ!!!!!!!」


 あ、これ父上死んだかもしれない。


「ごめんな。鍛錬があるんだ、ミリィ」


「おにーさまはみりぃと遊びたくないの?(うるうるっ)」


 やばい。遊びたい! いや、遊ばないといけない。これはミッションだ。 


「父上! どうする?」


 父上はさっきのミリィの発言で涙目になって、死にかけてる。ゴリ押そう。


「明日は休みにしよう。父上」


 死にかけていてなにも言えないのか父上は小さく頷いた。



 こうして、今日はミリィと一日遊ぶことになったのだ。


 ミリィの笑顔が可愛すぎて、まぶしすぎて、何度か天界へ召されかけたし、父上は、執務を強引に抜け出そうとして執事のセバスに羽交い絞めにされていた。


 ミリィという天然災厄による怒涛の一日が終了した。

 鍛錬より疲れたのは言うまでもない。

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