第15話 皆で素振りをしよう!

 色々とぐるぐる考えている間に長い時間経過してしまったようだ。2人はもう飽きてるかな~~? って、なんかめちゃくちゃ真剣な顔で見られてるんだけど!?


 そんなに僕のことを鍛えてくれようとしてるんだね。ほんとにうれしいや! でも、もうちょっと早く声かけてくれても良かったよね? そうだよね? おかしいよね?


 とにかく僕がそれなりにできることは伝わったと思うので良しとしよう。


「二人ともどうだった?」


「めちゃくちゃ上手でした! こんなに長い時間素振りできるんすね!? 俺じゃ集中が切れて無理です!」


「とても奇麗でした。舞のような洗練された動きでした。」


「ほんと!? 良かったぁ~~。 二人ともすごい真剣な顔してたから怖かったよ? でも、もうちょっと早く止めてくれても良かったよね~? 止めてほしかったなぁ」


「「――ッ」」


「すみません。つい見てしまって」


「すみません。カイル様が楽しそうでしたので。」


「え!? そんな僕楽しそうにしてた??」


「さぁ?」


「さぁ? って何?? もしかして、ミゲル僕のこといじってない!?」


「いじってません」


「いじってるよね?」


「いじってません」


「はぁ… もういいや」


 僕の素振りは2人の感想からしてもまあまあ良かったみたいだ。それよりもミゲルだ!!! 


 絶対僕のことをいじりの対象にしてるよね。確信犯だ。ミゲルに言い返すことでさえもいじられるんだから、もう何もしようがない…… こいつはもう治らないな。諦めるしかないのか。


 それはそうと、僕も2人の実力も見たいから、鍛錬を開始するか。


「僕ばっか鍛錬するのもなんだから一緒に鍛錬しよう!!」


「そうですね!! そうしましょう!」


「いいでしょう。私たちも負けてられませんからね!」


「まずは、素振りからだね。軽くでいいけど」


 そういって、僕たちは各々素振りを始めた。

 途中ちらっとアレクとミゲルの方を見てみたけどやっぱり綺麗だった。


 アレクは、僕より全然技術が上だった。さすがに父上ほどじゃないけど、型の流れの滑らかさに加えてそれぞれの動きに覇気があってキレがすごい。剣と共存してるかのような安定感だ。類まれなる才能の上に努力を重ねてきた動きだね。


 ミゲルは、あんな性格だけど、真面目に鍛錬を積んできたんだって分かる素振りだった。才能に溺れず、地道に努力を続けたからこその動きだね。全然ブレがない。寸分も違わない正確な突きだ。ひ弱そうな見た目に反して、しなやかな動きをしていて締まった筋肉が見え隠れしていた。隠れムキムキと裏で呼ぶことにしよう。


 それから、5分程素振りをし、アレクからは剣を、隠れムキムキもといミゲルからは槍の基礎を教わり、一日の鍛錬を終了した。


 従者という明確な部下が出来、貴族然としてきたカイルであった。

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