第5話 ぼく、ほんがよめるんです

「いりあ、ここにはどんなほんがあるの?」


「武術書から、魔法書、政治関連の本など様々な本がありますよ。

カイル様にはまだ早いと思いますけどね。」


「えーー!! よんでみたいなぁ」


「第一、カイル様は文字読めないんじゃないですか?」


「よめるよ」


「そうですよね。読めないですよね、て、、、

え、えーーーーーーーーーー!!!!!

読めるんですか? なんでですか? まだ3歳ですよね? 本当に3歳ですよね???」


「うん、3さいだよ」


「(これは背伸びして言っているだけかもしれないわね)

じゃあいくつか本を持ってくるから題名を当ててみてください!」


 そう言うと、イリアはいくつか本を持ってくるために本棚に向かった。


 僕には【異世界言語翻訳】のスキルがあるから、多分読めちゃうんだよなぁ。てか、このスキルチートに近くない? 小さなころから文字が読めるんなら賢者とか呼ばれるんじゃないか?


 だけど、古代文字とかまでも読める可能性が高いし、それが国にバレると一生拘束なんてこともあるかもしれない。父上の爵位は子爵とそう高くないのだから。そんなことにはなりたくない。出来るだけ自重しよう。


「じゃあ、カイル様、この本は何という題名ですか?」


「ぜんまほうじてん だね」


「じゃあこれは?」


「ぶじゅつのすすめ だね」


「(全部読めてる......)なんでよめるんですかぁ!?」


「母上に本を読み聞かせてもらっていたからだよ」


 これは本当の話だ。母上は僕に小さい子向けの絵本から絶対分からないような専門書まで読み聞かせてくれた。初めから文字は読めたけど、読み聞かされて覚えたと言えば、まだ偽装にはなる。


「それだけでっ⁉ こ、これはご当主様にご相談しないといけません!!」


 なんかわからないけど、大事になってきているみたいだ。でも、本が読めるならいっか。


「ご当主様に報告してきますので、本を読んでいてください!!」


「わかった!」



コンコンッ


「イリアに御座います」


「入れ」


「失礼致します」


「なんだ? 今はカイルと共に図書室にいるはずじゃなかったか...?」


「それが......カイル様、もう字が読む事が出来るそうなんです」


「ーーそれは本当か!?」


「私も信じがたいのですが、読めてました......

そこでなのですが、専属教師を雇い入れるのはどうかと思いまして」


「それはいくら何でも早すぎないか?」


「いえ、教育は早ければ早い方がいいかと思います。この年で本が読んでいるのですから、もう始めてしまっても構わないかと」


「そうか......一度、クラリスと話し合ってみる。下がってよいぞ」


 まさか、カイルがもう文字が読めるようになっているとは思わなかった。しっかりとは教えてはいなかったのだが...

 今のうちから教育をしていけばいずれは名君となってくれるかもしれん。早く話し合わねば......


◆◆◆◆◆◆◆◆

~スキル紹介~


【異世界言語翻訳】

この世界のあらゆる言語を翻訳することができる

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