第4話 3歳になりました
3歳になった。
この3年間は、すぐ眠くなった。食っちゃ寝を繰り返していたらすぐに過ぎ去った。
僕の発育は前世の記憶があることから普通の三歳児に比べて良く、少し驚かれた。
今日は、屋敷内を歩き回っている。まあ、隣にはイリアがいるから、どっかに抜け出すなんかはできないんだけどね。
あと、父上、母上と呼ぶようになったり、イリアさんをイリアって呼んだり、貴族っぽくなってきた。
カイルは、前世の記憶はしっかりと残っているが、この三年間で自我がカイルに寄っていったことで今のような人格が形成され、今ではずる賢い幼児だ。
「いりあ!!」
「どうされましたか? カイル様」
「ちちうえのところにいきたい!」
「アレス様は、今政務に励まれているので、だめです」
「えーー!! いやだーー!! あいたい!! ちちうえがしごとしてるとこみたい!! いーでしょ!?」
目を潤ませてイリアに上目遣いで見つめる。
こうすれば大体イリアは落ちるのだ!!!
「くっ......(可愛すぎる!!!!! なんなんだ、このかわいい生き物は!!! )
.......コホンッ
まあ、静かに見ているのなら許しましょう.......」
「やったーーー!!」
やったね! これでやっと、父上に頼みごとができる!! さあ、行くと決まったら歩いていくぞ!
「ちちうえ!」
「おう、カイルか。もうそんなにしっかりと歩けるようになったか」
「そうだよ。ぼくがんばった!!」
「そうかそうか!!!(癒されるなぁ)」
父上はこうやっていつも撫でてくれる。なんだか気持ちいいし、あったかい。
「そうだ、ちちうえ!!!」
「なんだ? カイル。なんか頼み事でもあるのか?」
「ちちうえをささえるためにいっぱいべんきょうしたいんだ!!
それでね、ほんをいっぱいよみたいんだ! だめ??」
「うっ。(可愛い!!!!!!!!)
カイルはまだそんなことは考えなくていいんだぞ~?
それに父さんはまだまだ頑張る!!!」
「えーー!!! べんきょうしたいーー!!!」
「カイル様、そんなことを言っては、ご当主様が困られますよ」
「良い、イリア」
「そうは言われましても.......」
「そうだな。じゃあカイル。周りに誰かいる状況で読むのなら許そう」
「やったーーー!!」
これでやっとこの世界について知ることが出来る!
「じゃあいまからいってきます!」
「おう。がんばれ! じゃあイリア、ついていってあげてくれ」
「はぁ、わかりました。では、ご当主様、失礼いたします。 行きますよ、カイル様」
「は~い。がんばってね。ちちうえ」
そう言うと、僕とイリアは、部屋を出て図書室に向かった。
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