第5話 薄い壁
「えー!鉛筆デッサンからすんのー?」
「まだ一年だから、空書きは出来ないよ」
おにぎりを片手に、とりあえず私は、船の下描きをする。なにか漢字でも入れようかな。とりあえず『不』という文字を竹の絵を描くわけでは無いけどいれてみた。
「お、不倫?不倫って書くの?」
彼が思い切り茶化すので
「違います!」
と言い切り、『不眠不休』と書いた。
それを見て彼は大笑いをした。それをみて私も笑った。
「淡々と描くのも何だから音楽でもかける?」
「お、いいね~」
彼から許可を貰い、CDプレーヤーを再生した。
マリリン・モンローが流れる。
「.......急に墨汁がピンクにしか見えん」
「はは、こんな時期に交わらすなんて狙ってる?って。そんな事は無いわよ」
お酒片手に桜の花を描いたり、舟を描いたり。こんな時間は、一体いつまで続くんだろう。
彼のツボにはハマったらしく、調子に乗って音楽を大音量でリピートしていた。
35分たった位に、ドンドンドンと隣の壁から音がして
「うるせーぞ!」
と怒られた。
CDプレーヤーの音を小さくしながら、私達は見合って笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます