第4話 家で

 紺色のジャージに着替えた彼は、ワインとビールの多さに終始ご機嫌だった。

「描きながら食べれるし、梅干しおにぎりも握ったら食べる?」

「うん!食べる」

 少年のような純粋な返答がだった。

「ちゃんと描く用意できる?」

「おう!一応生きて長いから嗜んでるからね」

 筆や墨を弄る音でガサゴソしている。

 私は背を向け、おにぎりを握った。

「はい。できたよ」

「あんがとー」

 彼は、ヒマワリと、ダージリンと梅の絵を描いていた。

「狙ってるよね」

「え?世界平和だかを祈るためにってこと?」

「.....そろそろ縛られず桜を沢山描かない?」

ちぇっと彼は少ししょんぼりしつつ

「日本人だし」

と笑った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る