第3話 デートで
6月15日、相変わらず私達は集まっていた。
少しだけ違うとしたら、お昼に待ち合わせるという事か。
(似合うかなあ...)
夏を先取りしたヒマワリのワンピースを着て総一朗さんを待っていた。
「すまん、すまん。遅れた遅れた」
やっぱり仕事で20分強遅れて彼がやってきた。
「ううん。14日待ちぼうけの時より全然早い。遊びに行こ」
私がそういうと、彼はじいいっと私を見て、
「この時期に、ヒマワリとは俺を挑発してんのか?」
とおちょくって聞いてきたので、
「そう思うと思ってた。でもこれは、夏って意味だから。そんなんじゃないよ」
と笑った。
そして私達は、古い喫茶店に入った。
「俺さ、朝も昼も食べてないから、カレーにしていい?」
といいながら、彼は既に店員さんにカレーを頼んでいた。
「私は、カモミールティーで」
総一朗さんが、またこっちを向いて
「挑発してるよね」
と言ってきた。
「元々飲みたいものが、たまたま」
私は、クスリと笑った。
「あーあ。今年も花見できなかったなあ」
彼はため息をついた。
「そうだよね。つまんないね」
「なんか、花見代わりになるもんない?」
普段は私に頼らないくせに急に頼りだしてきた。困ったなあ。何かあるかな。とっさに出てきたのは、半年前から始めた趣味だった!
「うーん、水墨画?」
「水墨画で花見できる?」
「そう、今私描くのハマってて。桜の花書きに来る?家で花見できるよ」
「ツマミある?」
「昨日の残りの餃子とレンチンのお好み焼きならあるよ。お酒は置いてないけど」
「じゃあスーパー寄ってビールとワイン買って家行くわ。今日予定もう無いし」
いつの間にか到着したカレーをすぐ空っぽにしていた。
彼の行動はいつも早い。
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