【1話完結】裏切られ続けた男

サーモンエビマヨピーマン寿司

第1話

ああ、人生ってのはクソだな。


俺は現在高校3年生。

過去に3度裏切られた経験がある。


1回目は中学1年生のころ。あの時の俺は恋愛に興味があったんだと思う。だから地味でモテない、お世辞にも可愛いとは言えない女の子の告白を受けたんだと思う。


俺はその女の子に尽してやったと思う。だけど向こうは違ったらしい。30000円くらいするネックレスを上げても、高級な財布をプレゼントしても心から喜んではくれなかった。逆に足りないとでも言うように不満そうだった。その頃にはもうその子の心は俺から離れてたんだと思う。


それを決定的にしたのは、俺が妹に頼まれてアイスを買いに行っている途中だった。

俺の彼女が冴えない男と腕を組み、俺に見せたことのない満面の笑みを浮かべながら歩いていたんだ。

俺はすぐに彼女と男の元へ走った。


「どういう事だ!その男は誰だ!」


俺が問いただすと彼女は笑いながらこう言った。


「あんたと付き合っても全然面白くない、彼のほうが楽しませてくれるからあんたはもう私に近づかないでね」


俺は浮気をされていた。


俺は悔しくなってその場を逃げ出した。

妹に頼まれたアイスも買わずに家に逃げ帰った。


家の扉を開け玄関に滑り込む。

勢いよく扉が開く音に慌ててリビングから出てくる妹が視界に入った。

だけど俺にはそんなことを気にする余裕はなく、みっともなく泣きじゃくってしまった。

そんな俺を見た妹は困惑しながらも、俺を抱きしめて背中を擦ってくれた。



2回目に人の醜さに触れたのは中学3年生になったばかりのこと。

学年で可愛い部類に入る女の子に告白された。


「あなたのことが好きです!付き合ってください!」


俺はそう告げられた瞬間、1年の時のトラウマが蘇ってきた。


だから俺は断ろうとしたんだがすぐに断ると印象を悪くするかもしれないと考え1度返事は保留にした。


家に帰り妹に相談してみた。

妹は、


「過去のことを忘れるために受けてみたら?」


と言ってくれた。

俺は明日OKの返事を出すと決めて寝た。


次の日、何時もよりはやく家を出た。

学校に着いても早いせいか、生徒が少なかった。

俺は教室に向かおうと廊下を歩いていると話し声が聞こえてきた。

普段の俺なら気にもならず通り過ぎるだろうがこのときばかりは違った。


「あいつがOK出さなかったらどうするよwww」


「出すに決まってるでしょwww私みたいな美少女に告られてOKしない陰キャなんていないでしょwww」


そこからの会話でわかったことだが俺はどうやら金蔓にされそうになっていたらしい。


俺は放課後校舎裏に呼び出し告白を断った。

その女は舌打ちをして俺の腹を殴ってどっか行った。


俺はこのとき完全に人間不信になったんだと思う。



高校に上がっても俺は相変わらず陰キャだった。友達なんて数えれるほどしかいない、典型的な陰キャだった。


高校1年生の冬の時期に突然陽キャから「今日カラオケ行こうぜ」って誘われた。

雪が降ってたし、陽キャと関わっていいことなんてないと思い、断ろうとしたら強制的に行くことにされてしまった。


待ち合わせ場所に着いてから俺はスマホで時間を潰しながら待っていた。雪が降っていてとても寒い。陽キャの連絡先なんて知るわけもなく、ただただ待っていた。

午後6時を過ぎて気づいた。


騙された。


俺は1週間風邪を引き、学校を休んだ。


風邪が治り、学校に行くとあの時誘ってきた陽キャに「まじで待ってたの?www俺らがお前みたいな陰キャと行くわけねえだろwww」と笑われた。


俺はもう何も感じなくなっていた。



そして今現在、高校3年生の冬、学校の屋上から見渡す景色は雪によって覆われた白色だった。

だけど俺が立っている所の真下に雪は存在しない。

俺は深呼吸をした。そして、過去のことを懐かしむように笑顔を浮かべこう放った。


「嗚呼、人生ってのはクソだな」


その言葉を言い終わると同時に俺の体は宙に放たれていた。



〇〇高校3年生、〇〇〇 〇〇


屋上から飛び降り自殺。

表情は、とても笑顔だったと言う。




※この物語はフィクションです。

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【1話完結】裏切られ続けた男 サーモンエビマヨピーマン寿司 @ttttttttyyyyyyiiiii

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