作家という職業の一つの姿が見えます。

 文体がとても綺麗で読むのが楽です。
また誤字も少ないため、作者様が何度も読み直すのがよくわかります。
 小説家、作家がどの様に生きているのか私たち読者には想像が中々つきにくいものです。
過去の文豪たちの私生活は今でも語られるくらいに波瀾万丈の者が多いですが、強烈な個を確立していた気がします。
しかし、この作品に出ている作家役のキャラクターはまだまだ個を確立しておらず、精神的に子どもの部分が残っているので不安定であり、そこに主人公との関係が深まることによって「作家の私」と「素の私」が乖離してしまう。
これはどの様な人でも当てはまる気がします。外では中々素を出す人はおらず、基本的に仮面を被って生活しているのが現代であり、それをうまく表現していると思います。