第7話
結論、単位をギリギリでもいいから落とさないないようにすること。それが中退をしない近道だと担任は言った…。こんな簡単な話ではなかったけれど…。1時間弱話してしまった…。
「はぁ…」
無駄に疲れた…。帰り道、足が向かった先は、
「いらっしゃいませっ」
かえこさんがいるコンビニだった…。
「はい…」
暗い声に、
「
俺かと確認するので、
「はい。遠矢です…」
その暗い声で、返事した…。
「今すぐにその顔、どうにかして…」
ん…?
声じゃなくて、顔…?
顔、泣いている以外は何もおかしいところなんてないけど…。
「この顔は生まれつきですよ。失礼な…」
そう言いながら、晩ごはんの品定めをしていると、
「そんな顔で
俺はちょっと笑って、
「会わないよ…」
そして、惣菜を手に取り、かえこさんがいるレジの前に置いた。
「
病状が落ち着いたと言った後に、余命はあとわずかとかえこさんから聞いた言葉を忘れたわけじゃない…。
「そんなこと…」
かえこさんの顔も、結構ヒドイよ…。言わないけど、ね…。
「じゃあ、また明日…」
コンビニを出た後、どう帰ったのか覚えてないくらいぼんやりと歩いて、気付けば家にいた…。そして、まだ泣いていた…。感情がぐちゃぐちゃで、それでもおなかは減るのでご飯と食べようとコンビニで買った惣菜を開けて、食べようとしたら、携帯電話が鳴った…。
「はい…」
『俺、太志だけど…』
チカちゃん、だった…。
「うん。どうしたの…?」
『俺、今、すごく怒ってるんだけど…』
そうみたいだな…。
「何かあった…?」
あえて聞いた…。何を言われるかはわかってたけど…。
『
気持ちの整理がつかないまま、俺は答えたくなかった…。
「何とも思わなかったことないよ…」
事実だけは述べた。
『じゃあ、何で会いに来ないの?会いたくないの?』
今すぐにでも…。
「会いたいよ。でも、会えない…」
怖い…。
今の現状を受け入れられるほど俺、強くないから…。チカちゃんを傷付けそうで…。
『早く会わないと俺、死んじゃうよ…?』
そんなことをさらっと言う近永くんは、
『俺は会いたい。ただ、それだけ』
じゃあ。と言って、電話が切れた。
「脅迫かよ…」
泣きながら、少し笑って、
「会いに行こうか…」
結局、俺はチカちゃんのこととなると放っておけない…。過保護な親か…。それとも、過干渉な友達なのか…。それとも…、いや、それはないや…。思い浮かんだ恋人という言葉に頭を振った…。
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