第5話 一番信用していた君へ

「なぜ裏切ったっぁぁぁ!!!柴田ぁぁ!!!!」




「ふぅ、そんなの決まっているだろう?お前が弱いからだよ。よそ者の明智とかいう奴の意見ばかり聞いて、わしの意見など一切聞かぬからだ。」




「そんな、俺はお前の意見を聞いていなかったわけじゃないっ!!」




『この偽善者が』




「なっ・・・」




「池田も森も皆殺しにしてやったわい・・・」




「やられる姿が実に素晴らしかったわい。「まさか!?まさか!?なぜお前が!?」と池田も森も同じ事を言っていたわい。」




「許さねぇ。お前、四箇屋のじさまも殺し、池田らも殺し、どれだけ仲間を殺せば気が済むんだ。ふざけるな。俺はお前の事を仲間だと思っていた。だから裏陣の大将にまでした。なぜ裏切った・・・」




「同じことを言わせるな。お前が弱いからだよ。」




「はっ?お前みたいに自分の力で勝てず、仲間を裏切って強いものに群がるクズみてぇな奴の方が弱いだろ。だから俺は今お前を殺して地獄を見せてやる。」




「ほほう。勝負という事か。楽しみだな。かかってこい信長。」




「あぁ、ならまずは一発かましてやるよ。」




シャキーン




柴田は池田や森との戦いでものすごくとは言わないが、少しは力を消耗しているはずだ。池田や森は相当な剣豪だ。傷の一つぐらい確実に入れているはず。一番池田たちが柴田に不意打ちされた時に刺しやすい場所・・・『腹だ』首とまではいかなくとも不意打ちされた時片方のどちらかは腹を刺してるはず・・・




『腹』を狙うか。




「やっ!!」


んっ。止められた・・・流石鬼柴田といったところか、やはり相当な力はある。




「どうした?信長全然わしに勝てそうにないが?」




「ふっ!!!」


よし。相手が油断しているすきに後ろに回り込み後ろから腹に一発刺すことができた。


しかも表面からは確認できなかったが、俺が思っていた通り裏からは血が出ていた。


恐らく池田、森のどちらかが刺したのだろう。 ありがとうな。




「なっ・・・信長」




「どうした?柴田?人を弱い呼ばわりしておきながら自分が刺されているが?」




「くそっ。一回刺されても、まだわしは死んだわけではないぞ。憎き信長・・・」




そう言っても確実に抵抗力は落ちているはずだ。次は首だ。一気に首を切る。


抵抗力が落ちているがゆえに必ず鬼柴田でも隙を見せるはずだ。そこで裏に回り切り落とす感じだ。




じゃあすぐいくか。




「今だ。やぁぁっっっ!!!」




カキーン。




「なっ!?」




「織田さん。私がいることをあなたはお忘れでは?」




「くそっ。邪魔が入ったか・・・『今川義元』だ・・・」


2対1は流石に厳しい。どうすれば良いのだ・・・




「民たちは私の事をこう呼ぶ。『海道一の弓取り』と。だが私は弓だけではなく、剣の腕もそこそこ有名なのですよ?」




「そうかそうか。自分語りはそこまでにしろ。」


とは言え、流石にこの状況じゃ策も思い浮かばないな・・・


どうしよう。




タッ


「なんだ?」




「うっ。どいつだ。」




「なんだって!?柴田が弓で討ち取られている。誰が?光秀か?」




「わしがやった!!!」




「あの青年は確か、こないだ民たちと酒を飲んだ時に俺に話しかけて戦に出ると言っていた青年だ!!」




「謀反人柴田を討ち取ったのはこのわし!『木下藤吉郎である!!!』




「なっ!?この青年が将来信長が亡くなった後あと天下統一を達成した豊臣秀吉!?」




「信長様あとは今川ただ一人!義元を討ち取っちゃえ!!!」




「いけー!!」




「あっああ!!!」




シャキーン




「うっ!信長!柴田が死んだからと言って私が弱くなるわけではないですよ?私だけでもあなたを殺すことなど余裕です。」




やはりそう簡単にはいかないか・・・


次狙うとしたら、足か?


「柴田が死んだとしても自分は強い!」と今川は言っていたけれど正直相当焦っているはず。俺が焦らなく、冷静にいけば勝てるはず。今川は恐らく首を狙ってくると思っているだろう。




だから俺はその裏をかくだけ!一番俺が今川と同じ状況にいた時焦るのが『足を狙われた時』だ。




だから俺は『足』を狙う。


正直足さえ切ってしまえば相手は何もできない。




だが足をきるのは『全体重を馬の上から低く下ろし足をきる』というものすごぐ技術が高い技だ。




正直言うと成功する確率は3割といったところだろう。だが俺はこれ以外今川に勝つ方法はない・・・




では早速足を狙って取り掛かるか。


絶対に殺してやる。


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