詩「冬の雨」

有原野分

冬の雨

逃げ出すように

露店風呂につかっていると

雨が降ってきた

ぼくは裸のまま立ち上がって

全身にそれを浴びた

いつ以来だろうか

なにも身にまとっていない

丸裸のまま

零れ落ちる悲しみを

全身で感じるのは

――。

ふとぼくは

夏が懐かしくなった

もう少し

生きてみようと思った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詩「冬の雨」 有原野分 @yujiarihara

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ