機械仕掛けのコウノトリ 4

 そこそこ勉強をして、そこそこの高校に行って、そこそこの大学に行って、そこそこの会社に就職をした。


それが私だった。よくある普通であることを気取っていたわけでもなく、ただ皆がするようにそこそこの一生懸命をした結果がそこそこだった。


ただ一つ違っていたのは、私は私という人間の伸び代をどこかでわかってしまっていたことだ。


それは結果として、そこそこ頑張るという私を生み出した。


特に義務教育の時に押し付けられる「夢」と「希望」の人生の道筋が私の先には広がっていないということを、見慣れた大人たちが示し、私も納得をして諦めさせてくれた。


しかし、私に全てのものが取り除かれたのではなく、そこには確かな「普通である」という道がしっかりと残されていた。


自動車免許を取って、遠くの行きたい場所へ自由に行くことはできたし、様々な資格を取って就職を有利にすることもできた。


そして、子供を産み育てる権利も国は私に許可をした。


それは女性として、母親として、普通である幸せを得る権利を得たことに等しく、限界を悟った私にとって、唯一想像すらできない可能性だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る