第49話 佐藤さんの未練

 今朝起きると、私のところにラインが来ていた。

「誰からだろう」

私はそう思いながら確認すると「Sayuri」と書いてあった。

つまり、佐藤小百合さんだった。

「今日、もしよろしければ田口さんの廃校まで来てもいいですか?」

こんな感じの文面だった。

私は、もちろん「大丈夫ですよ」と送信した。

すると、佐藤さんは「今日の午後2時ごろに行きます」と返信した。

 そして、私は午後2時までこの廃校の片づけをしていた。

そして、午後2時になると、佐藤さんがインターホンを鳴らした。

「こんにちは」

「田口さん、今日はいきなりですみません」

「いいえ、全然大丈夫です」

 私はそう言って、佐藤さんを拠点の保健室まで連れて行った。

「本日は、どのようなご用件でこちらにお越しいただけたのですか?」

「私がこの学校の生徒の時に、未練がありました。そして、その未練を解決したいです」

そう佐藤さんが言ったので、私は佐藤さんに「私が手伝えることでしたら、なんでもしますよ」と言った。

「まずは、一度プールに行かせてください」

そう佐藤さんが言ったので、私は「プール汚いので、やめた方がいいですよ」と言った。

しかし、佐藤さんは「それでもいかせてください」と言ったので、私は佐藤さんとプールに行った。

ちなみに、佐藤さんの美しい私服が汚れないようにと、この高校で過ごした時のことを思い出してほしいという気持ちで、私は佐藤さんにこの廃校の制服を渡した。

そして、屋外プールに行った。

すると、佐藤さんはこの緑色で汚いプールを見て感動していた。

「実は、私の元カレが水泳部でした。それで、その人が泳いているプールが気になっていましたが、私は泳げませんでしたので、ここに来ることができませんでした」

佐藤さんは過去のことについて話してくれた。

 そして、今度は二人で屋上まで行った。

そして、私は佐藤さんに気になっていることを聞いた。

「佐藤さんは、本は好きですか?」

「私は本が好きですが、どこでご存じになられましたか?」

佐藤さんは、私がこのことについて知っていることで不思議がれた。

「図書室の本の貸出票で佐藤さんの名前が書かれていた本がたくさんあったからです」

私がそういうと、佐藤さんは「私は高校時代にこの制服に包まれて、ずっと本を読んでいました」と言った。

 そのあとも佐藤さんとはしばらくの間話していた。

途中一回昼食を食べてから、佐藤さんの思い出の図書室で話の続きをした。

 そして、午後5時ごろに、佐藤さんは「ありがとうございました」と言って、この廃校から帰っていった。

そして、私はそのあとはゆっくりと過ごした。

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