第8話 お客さん
今から真希ちゃんが来るため、真希ちゃんを待つことにした。
30分ほど入学課題を進めていると、スマホの着信音が鳴った。それは真希ちゃんからだった。
「今門の前にいるから迎えに来て」
「うん分かった。すぐに行くね」
私はスリッパのまま廃校の校門に行って、鍵を開けて真希ちゃんを中に入れた。
「小百合ちゃん久しぶりだね!」
「真希ちゃん久しぶり!」
真希ちゃんとしばらく抱き合った。
そして、二人で拠点である保健室に行った。
「案外きれいだね」
真希ちゃんの言葉に私も共感した。なぜなら、しばらくの間放置されていたのに、こんなにきれいだったからだ。
「ありがとう」
「小百合ちゃん、制服似合っているね」
「ありがとう。でも、この廃校の制服なんだ。確かこの制服雨宮東高校の制服とそっくりだね」
「私も一回この廃校の制服着てみたいんだけど、もしよかったら貸してくれない?」
「いいけど、入学課題は大丈夫なの?私はほぼ終わったけど」
いきなり机の上に置いてあった電話が鳴りだした。
「もしもし、制服の配送業者です」
「今行きます」
制服業者だった。
私はすぐに門のところまで行って、制服を受け取った。
「小百合ちゃん、大忙しだね」
「確かに大変だけど、狭い家よりかはいいかな~とは思うけど」
「あと、真希ちゃんは家引っ越したの?」
「私は引っ越していないよ。でも雨宮東高校までは遠いかな~と思うけど」
「そうなんだ。お互い来月から頑張ろうね」
「うん」
「それじゃあ一回戻ろうか」
私たちはいつもの拠点の保健室跡に戻って、真希ちゃんにこの廃校の制服を渡した。
「真希ちゃん、サイズが合っていないかもしれないけど、その時はごめんね」
「ううん。小百合ちゃんありがとね」
真希ちゃんはベッドのカーテンを閉めて中でこの廃校の制服に着替えた。
「小百合ちゃん、似合うと思う?」
真希ちゃんの制服姿はとても似合っていた。
また、サイズの件も合ってそうだった。
「うん、めっちゃ可愛いよ」
「しばらくこのままで居てもいい?」
「別にいいけど、少し課題進めたら」
「う、うん、そうだね」
真希ちゃんは少し嫌がっていたが、私と二人で2階の西から3番目の「3年学習室A」と書かれた部屋に行った。
その教室に入ると、真希ちゃんが電気のスイッチを押した。
しかし、教室の電気がつくことはなかった。
「小百合ちゃん、この教室電気付かないよ」
「あ、ブレーカー点けてなかった」
「今点けに行くからね」
そう言って私は一回にある配電盤でこの教室のスイッチを付けた。
その教室に戻ると、すでに電気はついていた。
「真希ちゃん、これで入学課題できるね」
「わからないところがあったら教えてくれる?」
「もちろん。私もここで少し残っている課題をやるよ」
私は一階に高校の入学課題を取りに行ってから、真希ちゃんの隣の机でその課題をやった。
一時間ほどすると、私の課題は終わった。
「私課題終わったよ」
「私も10ページくらいは進んだよ」
「真希ちゃん、もう少しここに残ってる?」
「うん。なんだかこの環境落ち着く」
「ちゃんと集中してね」
「うん」
「私は、下のさっきの部屋で制服の中身を確認してくるから、何かあったらそこに来てね」
私はそう言って、一階に戻った。
そして、先ほど届いた荷物の箱を開けてみた。
すると、ここの廃校の制服と、似たデザインの制服と、体操服、上靴に体育館シューズなどが入っていた。
そしてこの制服を着て二階にいる真希ちゃんのところまで行った。
「真希ちゃん、雨宮東高校の制服に着替えてみたよ」
「小百合ちゃん、制服にあってるよ」
「真希ちゃんありがとう」
「きっと真希ちゃんも似合うと思うよ。だって、この廃校の制服も似合ているんだから」
「ありがとう」
私はふと外を見てみた。すると、もう日が沈みかけていた。
「真希ちゃん、もうそろそろ帰らないとおうちの人心配すると思うよ。この廃校の門まで送ってあげるから」
「うん、寂しいけど私帰るよ」
真希ちゃんは2分ほどで帰る準備をしていた。
帰る準備が終わると、私とこの廃校の門まで歩いて行った。
そしてその夜に真希ちゃんから制服が着たという連絡が来て、真希ちゃんの似合った制服の写真が届いた。
その日はその写真を見ながら眠りに落ちた。
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