第6話 廃校の校舎探索
翌朝起きると、いつもどおりに予定を立てる。
今日の予定は、エアコンの掃除と、午後からは校舎内の探索をすることにした。
今まではほかのフロアが怖く感じていたが、今日ならいけると思ったからだ。
まずは、私の拠点がある南館から探索していくことにした。
部屋の鍵を開けるために、鍵のリングを持って行った。また雰囲気を出すために、ここの制服に着替えた。
体育教官室の近くの階段から2階に上がった。
上り終わり左を向くと、トイレがあった。そのトイレの左側の方に行くと、3-1 と書いてある札がぶら下がっていた。
鍵を開けて教室の中に入ってみると、まるで、この廃校がまだ高校として使われていた時からあまり変わっていないと思うくらい、そんな感じの思いだった。
一番廊下側の前から3番目の席には手紙が入っていた。
山畑君へ
今日の5時にこの教室にいてください。
話したいことがあります。
伊藤まどか
私はその手紙を見て、悲しくなった。
次に、隣の教室も中を見てみた。
そこの教室の中も。同じようになっていた。
その一つ奥は、トイレになっていた。
そのトイレの中は、狭かった。また掃除もしていなかった。
その一つ奥には、学習室として使われていたそうな部屋があった。
そして、その奥は2つまだホームルームとして使われていそうな部屋が2つ続いていた。
そしてその奥にはまた学習室らしい部屋があった。
その奥にはトイレがあり、さらに奥にはホームルームらしい部屋が2つ続きであった。
3階に行くと、2階と同じ光景があった。しかし、2年生のフロアらしい。また、4階にも、同じ光景が広がっていた。そのフロアは1年生のフロアらしい。
しかし、5階は今までとは違かった。
まず、各学年の1組のほうから、物理室、生物室、トイレ、理科準備室、科学室、地学室となっていた。つまり、理科に関係する教室が、5部屋もあるということだ。私は少し驚いた。
その奥の教室は、3部屋ともコンピューター室となっていた。しかも、それらのコンピューター室には、まだパソコンがあった。さらに、各部屋40台もあった。全てパソコン本体とモニターとマウスとキーボードが分離しているデスクトップ型だった。
私はこのコンピューターが動くか気になっていたので、一番奥のコンピューター室のカギを開けて、教卓のコンピューターの電源ボタンを押してみたが、何も反応がなかった。
「壊れているのかな~」
私はそう思って、一番廊下側の一番前のパソコンの電源ボタンを押してみた。
しかし、また電源がつかなかった。そして、私は思い出した。南館1階以外のブレーカーをつけていないことに。
仕方がないので、先にほかのフロアを見ることにした。
次に6階に行くと、先ほどの物理室のほうから地理室、公民室、日本史室、世界史室、二つの音楽室となっていた。
また、このフロアにはバルコニーがあって、そこに行くと、外の景色がとてもきれいだった。
また、中館屋上とも渡り廊下でつながっていた。しかし、先に南館の屋上を見に行くことにした。
南館の階段をもう一つ上がると、外に出るためのカギがかかっていた。
私が持っているカギで開けることができたので、そのまま屋上に出ることができた。
屋上からの景色は、先ほどのバルコニーからの景色よりも良かった。
そこから景色を見ると、改めてここの敷地の広さを知ることができた。
「こんなに広いんだ~」
しかし、屋上もしばらく使われていなかったためかなり汚れていた。
また今度きれいにすることにしたが、今日は他も見たかったので、先に見ることにした。
一回南館一階まで下りて、先ほどの手紙を拠点においてから今度は中館を探索することにした。
中館は先ほどの南館よりも暗い感じだった。
しかし、2階から4階までは先ほどと同じ間取りだった。唯一違うところといえば、先ほどは学習室があったが、こっちは学習室がないところだ。
「あんまり変わりないな~」
そう私がつぶやくと、いきなりスマホから着信音が鳴り始めた。
真希ちゃんからの電話だった。
私は真希ちゃんからの電話に応答した。
「最近どんな感じ?」
「実は家から高校が遠すぎて私一人で引っ越しちゃった」
私が引っ越したことを伝えると、真希ちゃんが私のことを心配した。
「一人暮らしって、どんな感じのところ住んでいるの?」
「廃校だよ」
「小百合ちゃんは怖くないの?」
真希ちゃんは本当に心配していた。
「私はたぶん大丈夫だと思うけど、少し慣れてきたほうだよ」
「それならよかったけど、私に手伝えることがあったら手伝うからね」
「それじゃあ今度掃除を手伝ってもらおうかな?」
「ちょっと掃除は・・・」
真希ちゃんは少し嫌がっていた。
「でも、今度一回来てほしいな~あまり会えていないし」
「わかった。ところで今何をしているの?」
「今は、探索しているよ」
「小百合ちゃん一人で廃校探索なんて怖くないの?」
真希ちゃんがとても心配していたので、私は「全然大丈夫だから」と答えた。
「小百合ちゃんが怖くなければいいけど・・・」
「小百合ちゃん、また何かあったら私に電話かけてね」
「うん。今日の夜にもかけようかな?」
「それじゃあまたね」
真希ちゃんとの電話が切れた。
しばらくの間沈黙があった。
その間は風で周りの森の木が揺さぶれている音とと私の鼓動以外はほとんど何も聞こえなかった。
「5階に行ってみよう!」
私は5階を探索することにした。
すると、5回は今までとは異なり、8割近くが図書室となっていた。
そのほかに、3つのカウンセリングルームに一つの指導室があった。
図書室には鍵がかかっていたが、私が持っている鍵のリングには親切に図書室などのカギはわかりやすいようになっていたので、すぐに図書室を開けることができた。
図書室の中はとてもたくさんの本棚があった。
しかし、一部の本棚には本があまり入っていなかった。
貸出カウンター近くのポスターを見ると、一人50冊までは持ち帰っていいことになっていた。
私もよさそうな本を5冊ほど持ち帰った。
それでもとてもたくさんの本が置いてあった。
おそらく一生かけても読めないほどの量があった。今度本が大好きな真希ちゃんを誘ってみることにした。
この図書室の上の階は屋上だった。
先ほどの屋上よりも少し低かった。
南側は南館のおかげで景色が悪かったが、ほかの三方向は景色がきれいだった。
北館の屋上も同じ階となっていた。
今度は北館を探索することにした。
また南館一階の拠点に戻り、そこに先ほどの本を置いて、今度は北館に行った。
北館のとても大きい物置の奥にある階段を上って二階に上ると、また先ほどと同じ景色が広がっていた。
しかし、北館は普通教室が4つしかなかった。
その分3つの学習室とひとつ進路指導室があった。
しかも、三つも進路指導室があったことに驚いた。
そのほかにはあまり違いはなかったので、割と早い段階で5階まで行った。
すると、6つの視聴覚室があった。
その中にはいろいろなメディアが再生できる機械が置いてあった。また、授業後には先生に許可を得れば生徒でも使えることになっていた。
また、二教室分のスペースに視聴覚資料室があった。
そこの中には図書室のように貸出カウンターがあった。そこには先ほどの図書室と同じように「一人五本まで持ち帰っても大丈夫です」と書いてあった。
しかし、中にはたくさんのテープが残っていた。
そのテープたちを確認すると、ほとんどが社会科の学習などで使うテープだった。
また、少し映画のテープなどもあったが、私が知っているものはほとんどなかった。
私はここのテープで特に見たいものはなかったため、そのままそこを出て、鍵をかけてそのまま屋上に向かった。
屋上は先ほどと同じように景色がきれいだったが、やっぱり南側は南館の影響できれいな景色が見えなくなっていた。
しかし、西側にきれいな夕日が見えていた。
「もうこんな時間なんだ~」
私はそう思いながら拠点である保健室跡に戻った。
そしてそこにある電話で真希ちゃんに電話を掛けた。
「もしもしどなたですか」
真希ちゃんが警戒して話していた。
「もしもし、小百合だけど」
「小百合ちゃん、知らない番号からかけてこないで!」
真希ちゃんが言う通り真希ちゃんがこの電話番号を知っているわけがなかった。
「あ~真希ちゃんごめん。固定電話でかけちゃってたわ」
「あ、確か廃校に引っ越していたよね?」
「うん」
「ところで廃校探索どうだったの?」
「真希ちゃんに聞いてほしいことがあるの!とても大きい図書室があったんだよ。もしよかったら今度ここに来ない?」
「また時間があったら行きたいな~」
「まだ見ていないところもあるから、そこにもいいことがあったら真希ちゃんに伝えるね」
「小百合ちゃん、ありがとう」
真希ちゃんはとても喜んでいた。
「そういえば、高校からもらった入学課題終わった?」
「私はあと少しだよ」
「私まだ全然終わっていないんだよね」
「もしよかったら教室一つくらいなら自習のために開けようか?」
すると、真希ちゃんが笑い出した。それにつられて私も笑いだしてしまった。
「小百合ちゃんって面白いね」
「ありがとう。真希ちゃん、課題頑張ってね」
「ありがとう。それじゃあ電話切るね」
真希ちゃんが言ってから3秒くらいで電話が切れた。
急に辺りがとても静かになった。私は少し怖いと感じた。
もう日が沈んでしまっていた。
私は今日は冷凍パスタを食べてそれから寝る準備をして午後9時ごろには眠っていた。
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