推し活してたら、推しに私の推し活されてた件

plutoniumプルトニウム

推し活してたら、推しに私の推し活されてた件


 「今回も、大人気アイドルのマネマネンさんに登場して貰いましょーう!マネマネンさーん!」


 待望のマネマネンのコーナーが出てきた。マネマネンは、元Vチューバーのアイドルである。Vチューバーの活動を初めてから、そのトークスキル、イケボ(イケメンボイス)、雰囲気から莫大な女性からの支持を得た。

 そして、ファンからは顔出しの要望が絶えず、マネマネンは、自信の動画配信サイトにて、顔出し配信を行った。Vチューバーは、ド偏見ではあるが、「顔に自信が無い人」がやるものだと思っていたが、マネマネンはまさかの超絶イケメン。そのVチューバーへの偏見はいっきに崩れを見せた。


 そして、ファンからの実写の配信や活動の要望が絶えず、その後はVチューバーと同時進行で実写の芸能面での活動も行うことになった。私は、Vチューバーの頃から彼を見ていていわゆる彼の「古参」なのだ。

 私は現在ネット漫画家として収入を得ている。だが、同じネットという職場オフィスだが、収入の差は一目瞭然、ただでさえVチューバーでの収入が恐ろしいのに、それに加えて芸能でのギャラなんかが加わり、顔出しによってさらに自信のサイトの人気が延び、収入は増す一方であった。


 私も、彼を誇りに思っている。古参のため、勝手に母性というものがわいたのであろう。だが、私も頑張らなくてはならない。私も、もっと腕を磨いて、沢山のファンが出来るような漫画家になって、稼いでもっと彼に還元しなくては…もっとグッズを買わなければ…

 私は、マネマネンのテレビコーナーを見ながら、原稿にペンを走らせていた。


 「最近、マネマネンさんには趣味があるのですよね?」

 「はい!最近はもっぱら漫画にハマっています。特に、漫画と言ってもネット漫画何ですよね!」

 「そのネット漫画のなかでも、好みの漫画はあるのですか?」

 「そうですね…【オレンジ・ボーイズ】っていう、青春ネット漫画にハマっていますね。」


 私は、思わずペンを原稿に落としてしまった。い、今、【オレンジ・ボーイズ】って言った?

 そう。【オレンジ・ボーイズ】は、私の最初に投稿し、今もなお連載している青春ネット漫画である。あらゆるSNSやブログに投稿し、何とかそれがまぁまぁの収入になっていたのだが、まさか…


 「そして、その作家の【パイナップル名人】のファン何ですよ!僕!あの人の書く漫画は本当に何というか…もう、めっちゃ天才何ですよ!だから、課金までして先読みとかして推し活してますね!」


 何ということか…あのマネマネンの推しが私!?


 私は、これからも漫画を書いていこう…絶対に【オレンジ・ボーイズ】を完結までもっていこう。私は、燃える。推しのために、ひたすら漫画を書き続ける!


 テレビの電源を消し、髪を結んで原稿に取り掛かった。

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