本作の主人公である花守沙良は、学業優秀です。どれくらい優秀かというと、都内有数の進学校で学年2位になれるくらい優秀です。
そう、2位なのです。決して1位ではないのです。
その、沙良を抑えて1位に君臨するのが、不破秀司くん。おまけに彼は、イケメンであり運動も得意で美術や音楽も優秀というパーフェクトぶり。
ただしとってもドSです。
もちろん沙良だって、2位で満足なんてしません。
絶対に勝つ! ぎゃふんと言わせてみせるからと言っては、毎回秀司くんに勝負を挑むのですが、結果はいつも、2位、2位、2位!
ここまでくると、勝負を挑むための啖呵がまるで負けフラグのように思えてきます。
そして負けるたびに秀司くんからドSな煽りを受け、盛大に悔しがるのですが、沙良には悪いけど、そういうところが実に微笑ましい。
そう思っているのは自分だけでなく、作中の登場人物も同じです。
どんなに負けても挫けない沙良を応援する周りの子達。そして何より、いつも沙良を返り討ちにし悔し思いをさせている秀司くんこそが、そんな沙良に最も惹かれているのです。
毎回勝負を受けて立つのも、買った後でドSに弄るのも、それだけ沙良のことを放っておけないから。
それに沙良だって、そんな秀司くんのことが……えっ、違う? 別に彼のことが好きとかそんなんじゃないんだから?
沙良はこんな風に言っていますが、こんな二人の関係は、いったいどこに行き着くことになるのでしょうか。
都内有数の進学校、私立三駒高校に通う花守沙良には、ある目標がある。
それは実力テストで、クラスメイトの不破秀司くんに勝つこと。
勉強こそが自分の誇れるものだと信じ、高校でも一位を取ると意気込んでいたものの、テストではいつも不破くんに負けていて二位止まり。
次のテストでは絶対に負けないと悔しがる沙良に対し、不破くんはいつも余裕の表情。
けどそのやり取りが、見ていて微笑ましいのですよ。
まず沙良が可愛い。
いつか絶対に勝ってやると不破くんのことをライバル視していますけど、ツンツンした物言いの中に好きな気持ちが見え隠れしている。と言うか、好きなのがバレバレなのです。
本人は隠しているつもりですけど、クラス全員が沙良の好意に気づいていて、暖かい目で彼女のことを応援しています。
そしてライバル不破くんだって、もちろん沙良のことが気になっています。
だけど彼が沙良に花を持たせようと、テストで負けることはありません。何故なら負けて悔しがる沙良の様子が面白いから。
彼はついつい意地悪をしちゃう、ドSくんなのです。
こんな二人のやり取りが、面白くないはずがありません。
しかしクラスのみんなが早くくっついちゃえって思っていても、そこはツンデレ女子とドS男子。両者なかなか素直になれずに、次もテストで勝負をする。もはやクラスの名物です。
クスリと笑える場面や、吹き出さずにはいられない爆笑のシーンが盛りだくさん。
キュンキュンするラブな展開ももちろんあって、良質なラブコメとなっています。
はたして沙良が、不破くんに勝てる日は来るのでしょうか?
負けて悔しがる沙良が面白いから、そんな日は来なくても良いかなーなんて思ってしまったのは、きっと不破くんのSっ気が自分に移ったからです。