idle idol
人気アイドルグループのセンター、ユメカが活動休止を掲げてから、幾月が経ったろうか。
一時はマスコミを占領するまでのニュースと化した発表は、今や世間体で気にする者はほんの一握りとなってしまった。ガチ恋であったほどの応援者でさえ、鞍替えしてしまう始末。
「はあ、つまんないの」
彼らの興味とは人気グループアイドルという上っ面だけで、身を隠してしまえば追うものもいない。所詮、成り上がってしまった女一人は、時期が異なろうと辿る運命は一緒であった。
「そんなんだから、ゴミって言われてんだよ」
高いビルの屋上から下界を見つける彼女は、世間を一風した元アイドルの原型はなかった。
染めていた髪を黒に戻し、フリフリのスカートを破り捨てた、オーラの薄くなった女。
「ばーーか」
彼女が最後に発した言葉は、誰にも聞こえることはなかった。
どさ、と地面との接触を知らせた音が響いたのは、刹那の刻も経たぬ頃。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます