愛情表現が下手なのだ
「今日未明、ーー県ーー市で、先日から行方不明となっていた△△〇〇君の遺体が発見されました。
警察は誘拐殺人事件として捜査を進──」
テレビから聞こえる、気怠げそうなアナウンサーの声を右から左へと聞き流す。
午後のティータイムにこんなニュースを報道するとは、どんな頭の狂った番組だ。
『へえ、あの子結果的には見つかったのかあ、
死体の様子とかは世間に言わないもんなのかね?』
飲んでいたコーヒーのカップを机に置き、くぁ、と欠伸を一つ。
世の中には未だに生死不明の人が大勢居る。なら死体が見つかるだけマシなものだ。
『私はいつも、そんなに隠すような所に置いてないから、どうせ世間がひた隠しにしたいんでしょうけど』
幾つもの鍵が連なったチェーンを手に、ジャラジャラとした音を響かせながら廊下を歩く。
ひとつめは、部屋の扉の鍵。
ふたつめは、愛し子が入った、部屋に入るサイズの大きな檻の鍵。
みっつめは、手錠の鍵。
他にも色んな鍵を、こうして持ち歩いている。
その3つの鍵を全て開放し、一言呟く。
『やっぱりアンタ、気に食わないや。じゃあね』
子供の希望に満ちた顔が、切り替わる瞬間。
綺麗に首より上をナイフで切り取り、切断面を隠すよう元の位置に戻す。
『この家もそろそろ終わりか。次の家見つけるなら荷物は最小限じゃないと』
そう言った彼女はマンションの一室を出て、ガソリンを撒いた床に火をつけたマッチを置いた。
彼女の居場所を突き止めた警察と、燃え盛る炎に反応した消防が来るまで、あと5分も経たぬ頃であった。
「次のニュースです。同じような手口の殺人事件としては5件目となる──」
広い街中で大きなパネルを使い、大々的に報道される内容を聞いた彼女は、クス、と小さく笑った。
多くの人が行き来する場所であるため、他人に聞こえない声量なのは仕方のないことである。
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続きがあるのはあるけど微妙なとこで飽きたからここまで
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