智子の危機
「そうか、ぜひ来てくれ」
「先生!」
なかなか、院長室に来ない下村を心配して
廊下に出た加藤が声をかけた。
「おお、加藤君待たせてすまない。
私の教え子がいたものだから」
下村が亮の肩を叩いた。
「先生の教え子?東大薬学部ですか?」
「ああ、彼の卒論の糖尿病治療薬は製造に入って
臨床をうちの病院でやっているんだ。
今新薬のデータを見せてもらってうちの
病院で使う事にしたよ。ははは」
「そうなんですか。ではうちの病院でもぜひ」
加藤は亮の元に来て耳元で囁いた。
「松平さん、帰りに事務長のところに
行って手続きしてください」
「はい」
亮はうなずくと深々と頭を
下げて二人の前から去った。
「変わった奴だ。薬学部始まって
以来の天才と言われて、
漢方薬の研究に関してはうちの教授連中も
歯が立たないのに営業とは・・・」
「もったいない話ですな」
「彼ならいつかすごい薬を作ってくれるはずだ」
二人は嬉しそうに歩く亮の後姿を見送った。
~~~~~
亮は全国東都大学病院系列20病院へ
納品を決めすぐに直子に電話を掛けた
「池田さん、納品が決まりました。
ありがとうございます」
亮はすぐに直子に電話を掛けた。
「ほんとう、じゃあ今度の私の早番の時
食事おごって。それから約束を守ってよ」
「わ、わかりました」
~~~~~~~~
その日、亮は初めてとった契約が
嬉しくて絵里子を食事に誘った。
「今日は契約が取れたのでお祝いです。
好きなもの食べてください。
と言ってもファミレスじゃ、
たいしたもの食べられませんけどね」
「しょうがないわ、私も仕事の前だから」
「絢香は元気ですか?」
「うん、パパにまた会いたいって、
今イヤイヤ期なのに亮の話をすると
大人しくなるの」
「でも、中々会いに行けませんよね、人目があるし」
「そうね、あの子の父親があなただって
わかった大変よ、もう少し時間を置きましょう」
「はい・・・」
絵里子と別れると直子からLINEが入った。
「今日早番だよ。食事行こう」
「了解です。何が食べたいですか?」
「もちろん・・・こってりしたイタリアンが良いわ。
激しいブラジリアンでもいいわよ」
意味深な直子の言葉に亮は一瞬たじろいだ。
「どこかあっさりとした和食の
美味しいところ探しておきます」
「松平君、すごいなあ。
東大と東邦落としたんだって」
木村が亮の肩を叩いた。
「たまたまです。うちの薬が良かったから」
亮は肩を叩かれた反動でずれたメガネを戻した。
「じゃあ、今夜は祝杯だ!」
大橋が亮の後ろに立って声を上げ
大原智子の顔を見た。
「ご、ごめん今日は約束があるんだ」
小声で答えた。
「大丈夫、大丈夫」
亮は肩を叩きながら大橋の言った
大丈夫の意味が分からず
発注書の処理を始めた。
~~~~~
「おかげさまで新薬が売れました。
ありがとうございます」
新薬が売れたのは直子より
下村教授のお蔭だったが、
きっかけを作ってくれたのは
直子だったので亮は感謝していた。
「ううん、ちょっと電話をしただけだから」
「池田さんどうして東都大学付属病院の
院長を知っているんですか?」
「私、加藤院長の愛人だったの」
直子は恥ずかしそうな顔もせず簡単に言った。
「あ、愛人ですか?」
「うん、ほぼ毎日関係があった」
「えっ?」
~~~~~~
小学校の時直子の両親は離婚して
母親と祖母と妹と四人で暮らしていた。
「私どうしても東京へ行きたい」
そんなわがままで直子は岩手県盛岡にある
看護専門学校を出ると
東京の大学付属病院に就職した。
北国生まれの直子は色白で身長162cm
細身だったが形の良いお尻の美人で、
老人病棟担当から始まった。
仕事は決して楽ではなかったが
とても充実感のある毎日だった。
早速それに目をつけたのは、
当時の院長加藤で回診の時に直子に声をかけた。
「池田君はまだ、東京は知らないだろう?」
「はい」
「今度東京を案内してあげるよ」
その週の土曜の7時に直子は池尻大橋駅前で
待っていると目の前にベンツが止まった、
窓が開くとそこに院長がニコリと笑った
「お待たせ」
「こんばんは」
直子は生まれて初めてベンツに乗れる期待でドキドキし
院長の加藤は直子を乗せるとすぐに車を走らせた。
「みんなに見られるとまずいからね」
「はい」
「飯島君はお酒を飲めるのかな?」
「ええ、出身が岩手なので強いと思いますよ、うふふ」
「そうか、じゃあ」
加藤は六本木の駐車場にベンツを入れると、
ダイニングバーに入った。
個室の薄明かりの部屋、
直子が夢の世界に入るには十分だった。
日本酒を10杯ほど飲と夜勤
明けの直子に睡魔が襲ってきて
体が柔らかいベッドに弾む感覚目が開いた。
直子はボーとして見慣れない天井を見つめていると
その視線の中に腰にバスタオルを巻いた加藤が現れ
直子のシャツのボタンをはずし始めた。
「止めてください」
その言葉を発することが出来た頃には
直子は真っ白な下着姿になっていた
加藤はブラをはずすまもなく、
直子の胸にしゃぶりついた。
「あまり男を知らないようだな」
加藤は直子のパンティを降ろすと
手に唾をつけ直子の股に塗り
「痛い!止めてください。止めて」
直子は痛みと悲しさで涙を流しながら
加藤の一方的な行為を受け入れていた。
加藤が果てると、直子はシャワーで股を洗った。
直子ふらついた体で浴室から出てくると
加藤が仁王立ちしていた。
「まさか処女だとは思わなかったよ。
何度もやっているうちに
痛みが快感にかわるさ」
そう言って加藤は壁に直子を
押しつけ唇を押し付けてきた
「お願いもうやめて」
直子は唇でふさがれた口で言った。
加藤は嫌がる直子の髪をつかみしゃがみこんだ
直子を引きずり濡れた体のままベッドに投げ
そこに直子の両手を押さえながら凄んだ。
「池田君、悪いようにはしないから。
お母さんに心配かけたくないだろう」
直子はその言葉で全身の力が抜け
自分の上で上下する加藤を黙って感じ取った。
加藤との関係を何度か続けているうちに、
直子の体も心も変化していった。
都会で一人で生きる寂しさはS○Xをする事で
解消されるようになって来たのである。
その秋に加藤は大学病院へ帰る事になった。
「院長、私どうしたら?」
「落ち着いたら本院に呼ぶから待っていてくれ」
「どれくらい?」
「三ヶ月だ」
それから院長から一度も連絡は無かった・・・・。
「今、どうしているんですか?」
亮は悲惨な直子に同情していた。
「今の柴田院長に払い下げられて同じことが続いている。
加藤は本院にも同じような女を作っているわ、きっと」
亮はそれを聞いて加藤の秘書を思い出し
どことなく直子に似ているような気がした。
亮と直子は食事を終えるとレストランの下の
階にあるホテルの部屋に入った。
「シャワー一緒に入る?」
直子が積極的に誘った。
「あっ、池田さんが出たら入ります」
「そう」
直子はシャイな亮が可愛いらしく思っていた。
バスタオルを巻いて出て来た直子と入れ替わりに
亮がシャワーを浴びて腰にタオルと巻いて出て来た姿を
見た直子は息を飲んだ。
「イケメン、しかもマッチョ」
髪を洗ってボサボサの頭にメガネを外した亮は
ファッション誌に載っているモデルのようだった。
「ねえ、どうしてメガネをかけているの?
ヘアスタイルもラフな感じが良いのに」
「ああ、このメガネ度が入っていないんです。
UVカットだけ」
「ううん、そうじゃなくてメガネかけていない
方が良いのに」
「そうですか?メガネかけていた方が
真面目そうに見えるじゃないですか」
「えっ?真面目じゃないの?」
「小学校、中学校、高校、大学無遅刻、
無欠席ですから真面目かな?あはは」
「でも、すごくいい体している」
直子は亮の上半身を指先でなぞった。
背中から首筋前に回って乳首に爪を立てた。
「うっ」
「うふふ、感じている」
直子は目を細めて微笑んで亮の腰に巻いたタオルを取った。
「こっちも真面目みたい。それに・・・」
直子は亮のそれを握りしめ膝をつき顔をうずめた。
「あっ・・・・」
程々女性に慣れてきた亮は積極的だった。
バスタオルを取った直子は透き通るほどの色白で
興奮で全身がうっすらとピンク色になっていた。
直子のキスは飢えたように激しく、
蛇のように這う舌が亮の舌に絡まって来た。
亮は直子を抱えベッドに優しく下ろした。
「だめ!ベッドに放り投げて」
「えっ?」
亮は言われるがまま直子を抱き上げベッドに放り投げた。
「うっ!」
直子声を上げた。
「私、ちょっとマゾ気味なの激しい男が好き!」
「はい」
亮はそう言われていきなり直子の乳房を鷲掴みにした。
「いい」
亮はいきなり直子の全身に舌を這わせながら
時々かむように刺激を与えると直子は声を上げた。
そして、ツルツルのあの部分の周りを舐めて秘部を吸い。
強弱を繰り返し最後にちぎれるほど
強く吸って舌で皮をめくると直子は悲鳴をあげた。
「下手なんて嘘!いい」
亮の激しさは次第に増していき直子の体は
壁に押し付けられていった。
気を失っていた直子が目を覚ますと
亮が直子の全身を眺めていた。
「どうしたの?」
直子は恥ずかしくなって毛布で体を覆うった。
「いいえ、きれいな体だなあと思って」
「ありがとう」
「ねえ、うそばっかり、下手なんて
あなたいつもこんなに激しいの?」
「すみません、何が激しいかわからなくて」
「そうよね、比べるものないものね・・・」
「ただ、全力で頑張っています」
「アメリカの女性そんなに良かったの。
それとも浮気禁止とか」
「浮気かあ、彼女に言ったら怒られるかな?」
「普通は怒る。あなたみたいな
いい男他の女に取られたくないもの」
「たぶん、取られないと思いますよ」
亮は絵里子と絢香が大好きなので他の
女性に夢中になるとは思えなかった。
「じゃあ、私との関係一回限りなの?」
「いいえ、どちらでもいいですけど誘ってくれれば」
S○Xをまるでスポーツのように言う亮が
不思議だったが、直子はそれで満足だった。
「ほんとう、嬉しい」
直子が亮の上に乗ってキスをした。
そこに電話が鳴った。
「あっ、大原さん」
亮はスマフォの送信先を見てボタンを押した。
「何時になったら来るのよ」
智子はかなり酔っていた。
「えっ、僕は今日用があって
行く予定はありませんよ」
「うそ、大橋君達があなたの契約の
お祝い会をやるって誘われたのよ」
「それは断りましたけど・・・」
「なんだあいつ、私を散々酔わせて・・・」
亮は智子の話を聞いて嫌な予感がした。
「まさかあいつ・・・今何処ですか?」
智子の電話が切れて返事が無かった。
「まずい、直子さん急用ができました」
亮が直子に言うとすでに服を着ていた。
「大丈夫、行こう」
直子はそう言って口紅を付けた。
「ありがとうございます。
でも部屋は朝まで大丈夫ですよ」
「ううん、一緒に出たい」
直子は亮と腕を組んで部屋を出た。
「どうしたの?」
「知り合いの女性が酔っていて
危ないかもしれないんです」
「それは大変」
直子は自分の経験から他人事では無かった。
「居場所は?」
「たぶん池袋の東口のシャングリアです」
亮は歩きながらシャングリアに電話を掛けた。
「恐れ入ります。DUN製薬の松平と
申しますがうちの社員行っていますか?」
「はい、いつもお世話になっています。
今お帰りになったところです」
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