第9話 怒らないで

「ダンジョンで怪我して倒れてたから治療して連れてきたんだけど。ダメだった?」

「良いわけないでしょう。魔族が人間に直接干渉するのは禁止されています。まして、管理室に連れて来るなど言語道断です。」

「もらった本には攻撃が禁止されているとしか書いてなかったんだけど。。。」

「当たり前でしょう。ここはダンジョンの心臓部です。ここに人間を連れてくるなどあり得ません。さっさと処分してください。」

「え~。一度助けたのに殺すのはちょっと。」

「アラド様が嫌なら、私が処理しましょうか。」


 会話を横で聞いていたエイミーはだんだん真っ青になり、ブルブル震え出していた。動くこともできず、そのまま調理を続けていた。

「とにかく、エイミーには今料理を作ってもらってるところだから、それを食べてから話の続きをしよう。お腹が減ったよ。」

 料理の出来次第で殺されるかもしれない。そんな状況の中、とにかくエイミーは気持ちを奮い立たせ完成させた。

「いただきま~す。」「いただきます。」

2人が食べるのをエイミーが見つめる。そんな時間がようやく終わりました。


「アラド様。冒険者に関わるのは今後はお控えください。こちらの女を料理人として使用するのは認めます。ただ管理室の存在、魔族の存在は人間に知られる訳には参りません。その女と契約魔法で情報を漏らせないように縛りましょう。」

「いいかな?」

こくこく頷くエイミー。

「じゃあ契約魔法使うよ。ルールは『情報を漏らさない。』『僕を裏切らない。』って感じでいいかな。」

エイミーの体を淡い光が包み込む。

「これで完了。」

「女。妙な考えをおこさずに、大人しく料理を作るなら生かしておきましょう。」

「あっ、ありがとうございます。」

立ち去るイリアに頭を下げて見送るエイミー。


「助かって良かったね。」

「ふ~。怖かった。って言うかアラド様も魔族だったんですね。」

「ははは。僕もイリアが怖かったよ。」

「笑いごとじゃないですよ。もうちょっとで殺されるとこだったんですから。」

「まぁ助かって良かったじゃない。これからよろしくね。」

「は~。とにかく守ってくださいよ。私もまだ死にたくないですからね。」

これから3人でのダンジョン生活が始まる。

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