第8話 料理開始

 とりあえず管理室に連れて帰りました。やっぱり放置はできないよね。彼女は連れて帰る途中で寝てしまった。どうしようか迷ったけど、空いている事務官部屋に寝かせることにした。1号室にしました。

 ベッドに寝かせて、靴を脱がせた。

寝ている彼女を落ち着いて見た。

頭の上に耳、お尻にしっぽ。初めて獣人を生で見た!本当にフサフサ、モフモフ。勝手にしっぽ触ったらダメだよね。後で頼んでみようかな。


 彼女を部屋に残して食堂に移動。

今日の目的の1つ、料理作り。キッチンを調べてみよう。知らない調味料がいっぱいあるけど、どんな味なんだろう?とりあえず塩はわかるからなんとかなるかな。

 よし!料理を始めよう。食材はいっぱい採ってきたし、味見して、美味しかった物を食卓に出せばいいよね。


「それは食べられないよ。」

「あっ。気がついたんだ。もう大丈夫なの?」

「ちょっと休んだら、だいぶ元気になったよ。ありがとう。あなたが運んでくれたんだよね。」

「良かった。とりあえず座りなよ。どれが食べられないの?」

「ありがとう。そのキノコ、毒キノコよ。1つ食べれば死んじゃうよ。」

「ああ、そのことか。毒はあるけど、美味しかったし、解毒魔法使いながらなら食べられるよ。」

「魔法の無駄使いよ。そういえば自己紹介もまだだったわね。私はエイミー。あなたは?」

「僕はアラド。解毒魔法ぐらい負担にならないよ。」

「そういえば私の怪我も魔法で治してくれたもんね。アラドは凄腕なんだね。でも料理作るの代わろうか。さすがに解毒が必要な料理は止めた方がいいよ。」

「エイミーは料理できるんだ。助かるよ。」


 エイミーは無造作に置かれた食材と棚に並んだ調味料をチェックしながら、料理を開始した。

「あんまり調味料がわからないから、とりあえず塩かけて焼こうと思ってたんだけど。」

「もったいないよ。せっかく調味料色々あるんだから。まぁ私もプロの料理人ってわけじゃないから、あんまり期待はしないでね。」

アラドが座って寛いでいると、エイミーが料理をしながら、声をかけてきた。

「そういえば、ここってどこですか?宿屋とも違うし~。」

「ここは」

「アラド様。何をされているのですか。」

アラドの言葉はイリアによって遮られた。

「料理を作ってもらってるんだ。」

「そういうことではございません。何故ここに人間がいるのですか。」


 イリアが怒ってる。ヤバイ。どこが悪かったんだろう。これから一緒に働く人とは険悪になりたくないしな。勝負どころだ。

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