第3話 エルロイ大迷宮
「ここはジョバンニ大陸最大のダンジョン、エルロイ大迷宮です。地上1階、地下5階に広がる壮大なダンジョンです。階層毎に異なる環境、異なるモンスターが挑戦者を迎えます。」
「そんなに大きなダンジョンなのに1人で管理するなんて無理でしょ。」
「アラド様と私の2人です。勇者が攻略するまでは約20人の事務官がいました。最高の状態で勇者を迎えられるように、万全の準備をしていました。今は勇者に攻略されましたので、最低限ダンジョン維持をするためだけの人員が残されたのです。」
「それでも2人は少な過ぎません。」
「ジョバンニ大陸の他のダンジョンだと、マスター1人のところも多いですよ。」
「勇者が攻略したらそんなに変わるんですか?」
「勇者を最高の状態で迎える。そういうルールになっています。勇者が攻略を終え、もう次の大陸に行きましたので、この大陸のダンジョンは最低限の人員で維持するだけの状態になっています。」
「勇者が戻ってきたらどうするんですか?」
「攻略済みのダンジョンに戻ってくることはございません。経験値的にもアイテム的にも、わざわざ次の大陸から戻ってくるだけのメリットは何もございません。次にこのダンジョンにくるのは、魔王様が勇者を始末し、新しい勇者がこの大陸で誕生してからです。」
「かなり先になりそうだね。」
「その通りです。私達の役目はその時までダンジョンを維持することです。勇者が再び訪れる前には人員が一気に増えるので、勇者を迎える準備はそれからで大丈夫です。」
「放置しておいたらダメなの?」
「ダメです。モンスターやトラップを補充しないと人間達が勝手に住み着いたりします。ダンジョンがただの人間の村になってしまっては目も当てられません。」
「勇者が来る前に出ていってもらったらいいんじゃないですか?」
「本当に何もご存知ないのですね。少々お待ち下さい。」
そう言うとイリアは足早に去っていってしまった。
しばらく待っているとイリアが戻ってきて、小冊子を2冊渡してきた。
「まずはこちらの2冊を今日中に読んでください。明日から業務に関して説明致します。私はこれからダンジョンのメンテナンスに行って参ります。失礼致します。」と再び足早に去っていってしまった。
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