喧嘩部
顧問、校長先生。
部長、嵯峨野剣牙。
部員、入れ代わり立ち代わり。
喧嘩がしたい剣牙の要望を受け入れた校長先生により発足。
入部条件は、剣牙と校長先生の立会いの下、三十キロある丸太の素振りを百回連続できること。時間制限はない。
喧嘩は学校に設けられた部室内で、プロテクターを全身に装着して殴る蹴るの攻撃のみで行う。一対一でも、一対多数でも可能。時間は校長先生が終わりと言ったら終わり。
退部条件は、辞めたいと宣言すること。
注意事項、時々、否、毎回校長先生も参戦する。
(大嫌いだ、か)
自室で一通りトレーニングをし終えた剣牙が軽く走ってこようとドアノブを掴んだ時だった。机の上の箱に入れた竹の板を目にして、その場に立ち止まった。
身体が小さくて薄い同級生が喧嘩部に入部したいと言ってきたのは、一週間前。
丸太素振りを一回もできないだろうとの予想に反して、十時間かけて百回行い見事入部を勝ち取ったが、剣牙の軽い一打で気絶して以降、竹の板に大嫌いだと書いて手渡してくる。
理由は。
(本気を出せって言っても)
軽い一打で気絶するくらいなのだ。
本気を出したらどうなるか。
殺しをやりたいわけではないのだ。
むやみやたらに傷つけたいわけでもないのだ。
健全に喧嘩をしたいだけなのだ。
だから、校長先生に直談判して公式にその場を設けてもらったのだ。
(まあ別にこいつに嫌われようがどうでもいいんだけどよ)
ただし、この竹の板の処分には困るわけで。
さっさと捨てればいいのだが。
(くっそ)
留めていた足を動かし、少し乱暴に階段を駆け下りて、行ってきますと声を張り上げて家を出て行った。
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