世界設定その12 猟兵の戦術『攻撃』&『守備』



この物語は猟兵たちが主役となっています。


誰もがそれぞれのスタイルとしての『最強』を持ってはいますが、全員に共通している基礎的なスキルもあるわけです。


今回は猟兵全般が使っているスキルについてご紹介させていただきます。



・猟兵の戦術


猟兵の戦術は先代の団長であるガルフ・コルテスが設定したものです。


長年の傭兵稼業の果てに集めた戦闘にまつわる戦術、知識、技術をガルフ・コルテスが独自に編纂して完成したものが猟兵の共有する戦術論になります。


猟兵の戦術論の二大要素は『攻撃』と『守備』の解釈です。


ガルフ・コルテスは長年の傭兵稼業の結果として、戦闘には『攻撃』的な面と『守備』的な面があるものだと確信、それらを大きく分けて考えるようになりました。



・『攻撃』の戦術


『攻撃』に重要なものは、『作戦の履行』と、『有効な作戦を連鎖させる』こと。


『攻撃』に向く性格は、『マジメ』であること『社交家』であること、『一般的に知性が高い者』であること、『作戦の理解力が高い者』であると定義しました。


『マジメ』であったり賢かったりする人物が『攻撃』なんて野蛮で積極的に見えることが得意なのは、一見、変に思えるかもしれません。


しかし、賢くなければ作戦を的確に実行することは難しく、悪意のままに敵が置かれた状況をコントロールすることは難しいわけです。


また連携を実行するためにも、一定の常識は求められるため『社交性』がある方が有効になります。


襲い掛かって来る敵の『攻撃』に対して、軍隊は防御しなければなりません。


敵は作戦に基づいて『攻撃』を連鎖してくるわけですから、状況は次々と変わっていくことだってあるわけです。


右に攻めると見せかけて、本命は左だった、ということもありえます。『攻撃』の戦術とは、基本的に賢くて意地悪になります。



・『守備』の戦術


では、『守備』に求められるものとは何でしょうか?


ガルフ・コルテスは『守備』に必要なものは、『即応性』、『個人的な強さ』と考えました。


『守備』に向く性格には、『野性的』、『考えない人物』、『自己中心的』、『行動力のある者』としています。


悪い言い方をすれば、考えることが苦手な者ほど『守備』に向く、とも取れなくはない判断でした。


何故なら?


『考えずに行動が取れる者は早くて速いから』になります。


意地悪な攻撃に対して『守備』は後出しなわけですから、素早く対処する必要が出てくるわけです。


考える時間が長くなると、それだけ敵の『攻撃』の連鎖を許してしまうかもしれません。


そこで、素早く行動し敵の『攻撃』を妨害する決断力が有効になります。


臨機応変に、しかも素早く、なおかつ勇気も要る。


それらををこなせる性格は、決して『賢い者』ではないとガルフ・コルテスは判断しました。



・猟兵の『攻撃』と『守備』の適正


どちらの状況においてしか才能を発揮しないわけではありませんが、向き不向きも性格や技能によって決まって来ます。


『攻撃』に向く猟兵

1ソルジェ・ストラウス。『経験豊富』、『判断力が高い』、『洞察力がある』、『高い攻撃性』。臨機応変な戦力です。長年の戦場暮らしから得た経験と団長に就任したことで猟兵たちをより深く考えるようになっています。結果として、連携をかつてより試みるようになりました。ただし、元々は『守備』。個と行動力のタイプであり、17才の時点ではただひたすら突撃することだけしか知りません。経験により『攻撃』も獲得したため、どっちにも適正がありはします。


2ミア・マルー・ストラウス。年齢が若く、賢さはありません。しかし、連携することに長けていることが『攻撃』に向いています。幼いころか戦場暮らしとなったため、弱さを理解していたミアは、常に周囲との連携で実力以上の力を発揮するように訓練されています。また作戦に対しての忠誠度は他の誰にも負けません。決められた作戦を遵守する職人的なマジメさも、ミアが『攻撃』に向く理由となっています。また小柄なミア単独で守りのための壁となることは不向きです。


3ガンダラ。『マジメ』で『賢く』、『常識的』。ガルフ・コルテスが理想とした『攻撃』の性格を体現するような人物です。得意な戦術立案はやはり『攻撃』であり、連携を発揮するためには自己犠牲も厭わぬ人物になります。反面で『守備』、即応性には苦手さもあります。柔軟な動きをするよりも、あらかじめ決められた作戦を完璧に実行したいと考える完璧主義者なのです。『攻撃』の戦術の立案を担当する役割は、ガンダラにあります。


4シャーロン・ドーチェ。『賢い』、『計算高い』、『相手の欲望を読むことに長ける』、『嘘つき』。それらの要素から『攻撃』に向く才能を発揮してくれます。策略無しに動けるような人物でもなく、行動の理由に意図を必要とするため、真の即応性には向いていないところがあります。仲間をからかうことを楽しむ『意地悪』なところも、攻撃には向いている性格です。



5カミラ・ブリーズ。より正確には経験値不足であるため戦術理解が低く、そもそもどちらにも向いていないと言うべき状況です。しかし、『マジメ』、『従順』であることから、『指示さえあれば最高の働きをする人物』でもあります。能力そのものは高いため、一緒に行動する人物が的確に指示を出すことができれば、臨機応変に戦場に応じた強さとなるはずです。やさしくもあり『献身的』なため『守備』にも向く性格をしてもいます。『賢くない』なところも本来は『守備』向きであるため、成長すれば『守備』向きに変わるかもしれません。


6シアン・ヴァティ。『武人』、『戦術理解』、『圧倒的な攻撃性』、『戦闘中、常に内面では冷静』。シアンは『攻撃』に向いています。敵陣に攻め込み、敵を切り崩す個人技能の高さは『守備』的な適正も高いものの、シアンの行動の大半は仲間との連携を考慮して動いています。切り込み隊長として行動しつつも、戦術を崩すことなく、後に続く戦士たちの模範を示してくているわけです。敵を仕留めるときも、その様子を敵と味方に見せつけ、敵の士気を挫き、味方の士気を上げるという目論見からしています。ソルジェと同様、『攻撃』と『守備』のどちらもこなせます。


7キュレネイ・ザトー。『賢い』、『誰よりも冷静』、『誰とでも連携できる』。『攻撃』に向いた性格をしています。器用でどんな戦いでもやれますが、仲間のフォローも完璧に行えるため、『攻撃』の連携をサポートすることに長けている人物です。敵を惑わし、隙を突くことにも長けています。何でもやれますが、守らせているよりは敵の数を減らしに行かせた方が結果としてより大きな戦果をもたらします。仲間の進軍速度や攻撃能力に応じて、可変的な行動が取れることも武器です。



『守備』に向く猟兵


1リエル・ハーヴェル。『野性』と『直感』、『行動力』、そして『個の力』を持っています。戦場で使うことが自殺行為ともされる『攻撃用の魔術』を、突発的に使用可能なほどの膨大な魔力を有していること、弓による遠距離狙撃によって、敵を近寄らせない『安全な空間』を作れること。考えるよりも自分の判断を信じることを得意としています。性格と技能の両面で、リエルは『守備』に向く要素を多く持っているわけです。天然の護衛であり、計算高い行動を取ることはあまり潔い行いだとも思えていません。


2ジャン・レッドウッド。『バカ』、『勇敢』、『考えることが苦手』、『社交性に問題を抱えている』、『個の力が強い上に早く単独活動に向く』。どう考えても『守備』向きです。物語が開始した時点でのジャンは、こういった評価をされていますが、それと同時に『忠誠心』、『作戦実行への執念』も持つため、連携すればすさまじい『攻撃』の使い手にもなる可能性だけは秘めています。経験次第では、ソルジェのようにどちらもこなす万能型になるかもしれません。


3ロロカ・シャーネル。『とてつもなく賢い』、『マイペース』、『野性』、『感覚に優れる』。賢いことで攻撃に向きに見えますが、ロロカの賢さは理詰めの賢さではなく天然物の天才的な賢さです。知識で作戦を組み立てるわけではなく、『敵を見て即座に考えて作戦を作ることが可能』な点が、『守備』向きに選ばれた理由になります。『とてつもなく賢い』ため、およその『攻撃』の戦術を練る『普通の賢い人々』の考えを看破していることも『守備』の強さとなっていて、ロロカは『守備』の戦術を考えることが担当です。


4ギンドウ・アーヴィング。どちらにも『やる気がさほどない』。人物です。『怠惰』、『低い戦闘意欲』、『わがまま』、『行動力はある』、『面倒見はいい』という性格面と、リエル同様に強大な攻撃魔術を使うことで、瞬間的に無数の敵を個人技能で倒せるという武器があるため、『守備』に適正があります。敵の考えを読み取るのに長けた観察眼もあるため、罠に引っかかることもありません。人生経験から悪だくみを見抜く勘の良さも持っていることも頼れます。


5オットー・ノーラン。『マイペース』、『柔軟な判断力』、『危機管理の経験値の多さ』、『献身的な性格』、『敵を発見する能力の高さ』。性格と能力の両面から『守備』向きの逸材です。大きな戦略を立案するよりも、瞬間的な守備の作戦に対して強さを発揮する人物になります。しかし、探検家としての経験も豊富なため、チームリーダーとして大勢を率いることもこなせます。ただし、『やさしい』ため、攻撃に必要な性格の意地悪さがどうにも足りません。


6レイチェル・ミルラ。『天才肌』、『芸術家』、『感覚の人物』、『母性』。『守備』に向く性格をしている人物であり、遠距離戦もこなし、また『目立つことで敵の注意を引きつける』技能も『守備』に向いています。『個の強さ』が圧倒的であり、集団戦闘で連携することを本人もそれほど楽しめてはいません。この復讐の戦いは、あくまでも個人的なものという感覚もあり、『舞台では最も目立ちたい』という願いは後天的な本能としてレイチェルを行動させます。『母性』の強さからも、守るための動きはさらに速く強くなる。



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