世界設定その6 バルモア連邦
ソルジェの母親の故郷でもあり、ガルーナ王国を直接的に滅ぼしたバルモア連邦。
この物語のスタートは、彼らにガルーナ王国が滅ぼされる直前にスタートします。
バルモア連邦はどういった勢力なのでしょうか?
・概要
バルモア連邦は大陸北東部の沿岸および、大陸の東の海上に広がる大小無数の島々からなる連合国家です。
本来はそれぞれの島に分かれて多くの国家や集団が乱立していましたが、徐々に諸島国家たちが連合を組み始めていき、長い内戦の果てに巨大な連邦を建設しました。
それがバルモア連邦です。
人種は基本的には人間族が主体であり、共通項を多く持ちはするもののバリエーション豊かな無数の文化がバルモア連邦全体には存在しています。
武術の鍛錬を好み、とくに剣術には長けています。島国同士の戦いであったため、武術の系統は残酷さを帯びます。接近戦で確実に殺すために急所狙いのテクニックが多くあります。
また武勇を誇る文化と適合しているのが熊神の信仰です。
バルモア連邦の基本的な価値観として、熊の神を信仰し、その偶像や織物などを拝んでいます。
・環境
大陸沿岸部にある地域は穏やかなものですが、東部海上にある諸島はバリエーションが豊かです。
北部の島々は極寒の土地であり、渡り鳥が多く飛来。主要な産業は狩猟と漁業。猛禽類の羽毛から矢羽根を採取するなど、原始的な生活になります。熊神信仰の発症は北部諸島になります。
中部の島々は比較的発展しており、海運で栄えていました。経済・精神性の両面で豊かさがあります。三剣士の一人、カイエンは中部諸島出身です。
南部は漁業と農業が盛んな土地ですが、激しい海流があるため難破船、遭難者も多く流れ着く土地です。
大陸からも多くの人々が流入して来た歴史を持っています。その結果として、様々なコミュニティが乱立、互いに利益を求めて闘争を行い続けています。暴力と貧困、そして対立と犯罪が蔓延した地域です。
三剣士の一人、ガーゼット・クラウリーは南部のスラム街出身です。
・政治
各部族の酋長や族長、町長や市長などなど、さまざまな政治体系のリーダーが乱立する小国家群です。
連邦が機能するときは、それぞれの地域から選ばれた貴族あるいは指導者が会議を開いて話し合いで物事を決めます。
とはいえ利害対立が激しいため、全くもって一枚岩ではありません。大陸への海賊行為や侵略の理由は、襲撃による経済的な利益の確保であると同時に、バルモア連邦内の政治対立の圧抜きであることも多いのです。
血の気の荒い乱暴者を、海賊行為や軍事侵攻で消費/処分すればいいと考えるリーダーたちもいます。また、戦争を行うことで得られる結束を政治的に利用しようと考えているリーダーもいます。
それぞれの経済・政治的な利益を求めて、互いに足を引っ張り合うところもあるため、ファリス帝国にそれぞれの貴族やリーダーたちが個別に買収されていき、けっきょくはファリス帝国の一部となりました。
・軍事
長らく内紛が続いていたことと、粗暴な人々が多いこと、剣術や武勇を尊ぶ精神があったため、非常に戦闘力は高いものがあります。
バルモア連邦では剣術を尊ぶ価値観があったため、また鉄を始め金属は貴重品であったため、少量の鉄で作られる中型~小型の片刃の剣、つまり『刀』の発展が盛んになりました。
刀の文化は大陸側にも伝えられており、ガルーナの竜太刀の開発にも関わります。地理的にも近かったため、古くから交流があった土地同士でもあるのが、ガルーナとバルモア連邦です。
船で乗りつけていき接近戦で確実に殺し合うというスタイルが生んだ武術を持っています。
大型船の発展は遅れていて、より原始的な小型船を重宝します。
接近戦特化型の軍隊であり、捕虜を取らずにとにかく皆殺しにして土地を奪うことを好みます。小さな島を丸ごと奪い合う闘争をしていたため、侵略して奪った島の住民は全滅させることが常であったためです。
しかし、政治的な結束力は低いため、政治工作で瓦解されてしまいました。
ですが、戦闘で軍事力を消耗したあげくにファリス帝国に吸収されたわけではないため、軍事力が残存していることは帝国からすれば課題となりました。
皇帝ユアンダートはこの軍事力を消費し、反乱の牙を削ぐと同時に、大陸の侵略に使うため『暗殺騎士団/アサシン』と呼ばれるバルモア連邦人部隊を結成、各地で刺客として重宝してきました。
ファリス帝国の主流派からは、常に旧・バルモア連邦の人々は警戒されています。長い歴史のあいだにバルモア連邦による海賊行為の被害を、ファリス王国時代からの貴族や大商人たちは受けているからです。
貴族やリーダーたちからは保護されず、帝国の主流派からは疎まれるという立場に置かれていることは、当然ながらバルモア連邦の若者たちには大きな不満としてくすぶっています。
それに同情的な帝国軍関係者などもいるため(彼らは長くバルモア連邦の若い戦士たちと共同作戦を取って来た者たちです)、帝国の主流派からすればますます反乱を危ぶむ声が高まりつつあります。
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