3 あなたは無条件で愛されている
「それって轢き逃げじゃないの?」
「いやぁ……。轢き逃げは、轢き逃げかもしれないんですけど……」
捜査一課の刑事である
「なんで俺ら呼ばれたの」
規制テープの手前で手袋をはめながら、佐野は言った。
「佐野さん、いいからいいから」
相原は片方の手でテープを持ち上げながら、手帳を持つもう片方の手で佐野を急かした。
佐野は遺体にかけられていたシートをめくった。被害者は愛らしいワンピースを着た若い女だった。佐野の目には、十代後半のように見える。
遺体は雛町の住宅街の道路の真ん中で仰向けに倒れていた。右腕にショルダーバッグのストラップが絡まり、足元には脱げたパンプスが転がっている。
相原は説明した。
「カバンに学生証が入っていたので、身元はすぐに判明しました。市井明日見、
「うん、だから、事故の衝撃で吹っ飛ばされたんでしょ?」
「少しって言っても、そこの十字路、左に曲がってさらに六十メートル以上離れた場所ですよ?」
相原はいぶかしげに目を細めながら、すぐそばにある曲がり角を指差した。「被害者は六十メートル以上吹っ飛ばされて尚且つ右折したっていうんですか?」
「被害者にまだ意識があって、助けを求めるために、自力で這いつくばってここまで来たのかも」
「だとしたら通常、うつ伏せの状態で発見されません? それに、衝突位置からここまで、道路に引き摺ったような跡がありましたし、被害者の服の背面やふくらはぎにも、地面を擦ったような痕が。さらにですね」
相原は立ち上がって、小さなビニール袋を取り出した。
佐野も腰を上げた。ビニールの中には、うずまきの先が右に反り上がって伸びた、白い羽を模した物体が入っていた。
「あらかわいい」
「ヘアピンです。被害者が握ってました」
「指紋は?」
「被害者のものだけです」
「バイトに向かう途中で取れちゃったの、つけ直すの面倒になって持ってたんじゃない?」
「それが事故の衝撃にも耐えてずっと手の中にあったっていうんですか?」
「事故の衝撃に耐えようとして、被害者がとっさにいきんだ可能性もあるじゃん」
「…………あと、鑑識の
相原は不服そうな面持ちで言った。
「ああ、勝さん? なんて?」
反対に、佐野の表情が、ぱっと気楽なものになった。
あきらめと、羞恥心の入り混じった表情で、相原は呟いた。
「『こりゃ事故じゃねえな』って……」
「ええ……」
「『どう見ても他殺だ』『一課呼べ』ってしつこくて」
「えええ……」
佐野はもう一度、痛ましい遺体の姿に目を向けた。「そらぁ、轢き逃げも殺人みたいなもんだけどさ……」
「ほら、前にもあったじゃないですか。現場の状況はどう見ても事故なのに、勝さんだけが頑なに、『こりゃ殺しだ、殺し』って言って、結局保険金目当ての身内の犯行だったやつ」
「偶然だよ、偶然」
「それにですね」
「まだあんの?」
佐野は悲鳴のようにもらした。
「僕も、最初に遺体を確認したとき、なんか変だなって思ったんですよ。〝動かされたかも〟っていう違和感じゃなく————なんていうか、どことなく作られたような感じがして……。フィクションの死体って、髪の乱れや服の破れ具合とかが、細かく作り込まれたりしてるじゃないですか。言葉は矛盾してますけど、乱れたように、整えられてるっていうか。実際の死体っていうのはもっとぐちゃぐちゃで、どこが肉でどこが皮なのか判別できないくらい惨たらしいのに。でもこの遺体は、構図やポーズが演出されたみたいで、どこか————」
「奇麗過ぎ?」
「いえ、えっと————」
常に流暢に物事を述べる相原が、珍しく苦心して言葉を選んでいた。「安らか?」
どこが?
佐野は三度遺体に目を向けた。佐野の目には、どう見ても市井明日見が安らかな死を迎えたようには見えない。
「どうです? 刑事の勘、みたいな」
なぜか小声になって、相原は詰め寄った。「なんかピーンと来るもの、ありません?」
「無理無理。アンテナ倒壊してるもん、俺」
「どうします?」
「この子の身内は?」
「遠方に住んでいるらしくて、今、到着を待っているところです」
「第一発見者」
「形式的な事情聴取は済んで、今日はもう返したそうです」
「バイク」
「車種の特定、防犯カメラのチェック等、急いでます。修理業者にも手配済みです」
「うーん……?」
何かを模索するように、佐野は唇をひねった。
「今朝の九時過ぎに、『寝坊したので15分ほど遅れます』って、連絡が来て」
雛町商店街にあるアパレルショップ、
「明日見ちゃん、ちょっとそそっかしいところはありますけど、勤務態度は真面目で、遅刻するのなんて初めてだったんですよ。珍しいなぁって思って。普段は夕方からのシフトだったんで、それで忘れちゃったのかなって……」
戸惑いながらも、丁寧に、植木は話していた。
「『遅れてもかまわないから、気をつけて来てね』って返したんです。でも、十五分が過ぎても全然出勤して来なくて。何度か連絡したんですけど、返信も来なくなって。まさか、こんなことになってるなんて……」
遅刻して慌てて家を飛び出したところを、バイクに撥ねられたか? 佐野は思った。
「てんちょお!」
店の扉が勢いよく開いて、長いストレートヘアの少女が飛び込んできた。
少女は一直線に植木のもとへと迫った。
「嘘ですよね! 明日見ちゃんが死んだって!」
「ア、アリスちゃん……」
「さっきそこで
少女はぴたりと動きを止めた。それから、幽霊の姿でも確認するように、恐々と後ろを振り返った。
物々しい、スーツ姿の二人の姿をようやく目に入れ、少女はすべてを悟ったらしい。脱力したようすでその場から離れると、そばにある、ひなぎく柄のソファへ向かい、体を落とした。
「従業員の方ですか?」
佐野は小声でたずねた。
「え、あ、はい……」
アリスと呼ばれる少女のようすを気にしながら、植木は言った。
「三希子さんというのは?」
「商店街の、美容室の方です。ハタヤマ美容室の」
「これに見覚えはありませんか?」
相原が小袋を取り出した。
「なんですか?」
植木は目を凝らした。
「ヘアピンなんですが」
「いえ、見覚えはありませんが」
「市井さんが、これをつけて出勤してきたことはありませんか?」
佐野は聞いた。
「ちょっと、記憶にないです」
「市井さん、最近何か変わったようすはありませんでしたか?」
「……いえ、特には」
「友人や、恋人とトラブルがあったなんて話は?」
「さあ……」
植木の表情が、段々と、いぶかしげなものへと変わっていった。「恋人は、当分作る気もないって、言ってました。大学のお友だちとは最近旅行に行ったらしいですけど、特にトラブルがあったとかは……。あの……これって、轢き逃げ事件……なんですよね?」
「いろいろな面から、捜査しなければならないもので」
「はぁ……大変ですね」
「あの」
気づくと、アリスがソファから立ち上がっていた。しっかりとした表情で、佐野たちの方を見ている。「それ、明日見ちゃんがつけてたんですか?」
少女は相原が手にしている羽のヘアピンを指した。
「いや、身につけていたというか……」
歯切れ悪く、佐野は答えた。『市井明日見がヘアピンを握っていた』という情報は、まだ、公にしたくはない。
「何か心当たりが?」
相原がたずねた。
「全然。心当たりがなさ過ぎるんです」
堂々とした口ぶりで、アリスは話した。
「見れば分かると思うんですけど、うちの店、『お嬢様の午後』がコンセプトなんです。お嬢様っていっても、フリフリのドレスとか、縦ロールとか、そういったのじゃないですよ。
アリスは佐野に、テーブルにあった店のカタログを押しつけた。
「私、明日見ちゃんとはプライベートでもなかよしだったんです。明日見ちゃん、プライベートでもそういうかわいいファッションが大好きで。ご飯食べに行くときも、DESUWAの服、着てくるくらいで。でも、そのヘアピンは……」
不審がった目つきで、アリスはヘアピンを見やった。
「かわいく、ない……?」
おそるおそる、佐野はたずねた。
「かわいいはかわいいですよ。私もたまに、そういうのつけるんで。でも、明日見ちゃんが選ぶには、ちょっとフェアリーすぎるっていうか」
「ふぇ、ふぇ?」
「はい。大体、そういうテイストのって……」
アリスは、窓の向こうを指差した。
「うちで取り扱ってる品ではないですね」
羽のヘアピンを一目見て、雑貨店『わたしのオルゴールが鳴っている』の店主、
「思い入れ?」
佐野は聞き返した。和泉は露骨にため息を吐いた。
「私、嫌いなんですよ。ネット通販とか、オンラインショップって。私たちのような経営者が、なんのためにこうして店を構えて、ディスプレイにこだわったりしてるのかっていったら、お客さんに、店の前で足が止まったときの直感や、扉を開ける瞬間の緊張や、素敵な商品と巡り会えたときの嬉しさ、購入して家に持ち帰るまでのワクワク感を、感じてもらいたいからなんですよ。自分の店を訪れたという体験が、少しでもお客さんの記憶に残ってくれたら、私たちにとって、それはお金以上の喜びなんです。今はなんでもタイパコスパで、そんなの時代遅れだって言う人もいますけど、同じ商品でも、ネットで買うのと、実際にお店で買うのとじゃ、満足感が全然ちがうと思いますけどね。だからハンドメイド作家さんも、わざわざうちの店に自分の大切な子どもたちを託してくれるわけで————」
和泉の話が、ぴたりと止まった。
「話逸れましたね」
なんてことはないという表情で和泉は言った。そして続けた。
「エンジェルモチーフっていったら、今は大手なら、『マカロニ・エンジェル』さんじゃないですか?」
「まかろにえんじぇる?」
「ええ。私も詳しくは知りませんけど、服とか、雑貨とか、いろいろ出してるみたいですよ」
柔らかそうな見た目とは反対に、とげとげしく、和泉は話した。
「雛町に事務所があるらしくて。お抱えのモデルさん、よくここら辺うろうろしてますよ。立ち寄ってくれるファンの子たちのおかげで売り上げが伸びて、翔印堂さんのご主人と、天使の館の店長さんは喜んでるみたいですけど」
「天使の館?」
相原は眉をひそめた。
「ええ。ここの商店街じゃ、割と新しい方のお店です。…………私嫌いなんですよ、あそこの店長さん」
「なんでまた」
佐野が聞いた。
「いつもにこにこして、いい人そうに見せてますけど、なんか胡散臭いんですよ、あの人。一、二度会っただけですけど。分かる人には分かります」
「悪い噂を聞いたりは?」
「いえ、そういう訳じゃ……」
和泉は小さくため息をついた。そして続けた。
「マカロニエンジェルさんのことにしたって、正直うちは迷惑してるんです」
「迷惑?」
「別に、ライバルだなんて思ってないですよ。同じエンジェルモチーフの商品取り扱ってますけど、そもそも会社の規模がちがいますし、うちは小さい店で細々とやっていけたらいいんで。問題なのは、そのモデルの子たちですよ」
「何かトラブルでも?」
「いいえ。でも、警察の人には、『大きなトラブルが起きた』とでも言っておかないと、迷惑行為とは認められないんでしょうね」皮肉っぽく、和泉は言った。
「いやぁ……そういう訳では……」
「あの人たちがこの商店街へ来るのって、食事や買い物が目的じゃないんですよ。店を回って、新手の勧誘みたいなことしてるんです」
「自社商品の、押し売りってことですか?」
相原が聞いた。
「いえ。でも、そこが巧妙なんですよ。突然、店にふらりとやって来ると、『お話を聞かせてくれませんか』って。『楽しかったこと、嬉しかったこと、辛かったこと、腹が立ったこと、大昔のこと、最近のこと、なんでもいいですから』って。『特にないです』って言ったら、『好きな食べ物はなんですか?』とか、『好きな音楽はなんですか?』とか、簡単な質問を一つされるんです。時々、手作りの焼き菓子をくれたりして。適当に質問に答えると、『ありがとうございました』って、満足そうに帰っていくんです。本当に、ただそれだけなんですよ。押し売りも宣伝もないどころか、質問の答えを、記録してるようすもなくて。何か話すか、質問に答えるかしたら、長居せずにとっとと帰ってくれるんです。たまに、話のついでに何か買っていってくれるときもありますけど、ほとんどはそういう挨拶回りみたいなものだけですね。でも、絶対裏に何かあるに決まってるじゃないですか。油断してると、今度はほんとにセールストークが始まるか、まんまと個人情報盗まれたりしそうで————。私だけじゃないですよ。商店街の、ほとんどの人が迷惑してるんです。でも、みんな客商売ですし、その子たちのこと、翔印堂さんのご主人が贔屓にしてるので————あ、あそこのご主人、この商店街の主なんですよ。だからみんな、ちゃっかり空気読んでるみたいで。害はないですけど。でも、なんとなく気持ち悪いじゃないですか」
「うちの商品ではないですね」
ヘアピンの入った袋をテーブルに滑らせて、マカロニ・エンジェルの代表、工藤律子は言った。「うちでも、羽をモチーフにした商品はいくつも出しておりますけど、そのような————」
工藤は返した品にちらりと目を落とした。「チープな作りではありませんので」
マカロニ・エンジェルの事務所は、『ホワイトヘブン』と呼ばれる九階建てマンションの、一階から四階部分にあった。
突然の警察の訪問にもかかわらず、工藤は物怖じすることなく二人を出迎えた。手足の甲が隠れるロングドレスに身を包み、招かれた側のように、悠然とソファに腰かけている。
「こちらはどういった会社なんですか? 普通のファッションブランドとはちがうようですが」
佐野はたずねた。
「アパレルがメインですが、生活に関わるものならなんでも。家具、食器、リネン、化粧品等々————。最近では、音楽の方も」
「音楽?」
「ええ。生活の邪魔をしない、BGMになるようなものを。デジタル配信とレコード、並行して販売しております」
失礼いたします、という小さな声とともにドアが開いた。ふんわりとした白いワンピースに白いエプロンを身につけた、おさげ髪の女が入ってきた。
女はおっとりとテーブルのそばまでやって来ると、まるでドールハウスに人形でも並べるような繊細な動きで、紅茶や焼き菓子を並べはじめた。
「秘書の方ですか?」
佐野は聞いた。
「いえ、うちの専属モデルです」
「成願寺星来と申します」
星来はお辞儀をした。
工藤が、小声で星来に告げた。「ご近所で轢き逃げ事件があったそうよ」
「他のモデルさんたちも、今、こちらに?」
佐野はたずねた。
「いえ。この子以外は、みな出払っておりますけど。でも、夕方には戻ると思います」
「わたくしたち、ここに住んでいるんです」
星来が言った。
「ここって、このマンションにですか?」
「ええ」
工藤は言った。「五階から上は、わたくしたちの住まいになっておりますので」
「わたくし〝たち〟ということは?」
「ええ。もちろん、わたくしの部屋もあります」
「他のスタッフの方も?」
「いいえ。この上に住んでいるのは、わたくしと、モデルたちだけです」
そう言って、工藤は紅茶を口にした。「呼びましょうか?」
「いえ、今日は、簡単にお話を聞きに来ただけですので」
星来が、テーブルのそばでトレイを手にしたまま、じっとヘアピンの袋を見つめていた。
「見覚えが?」
相原が聞いた。
「あ、いえ」
小さく驚いて、星来は微笑んだ。「とてもかわいらしいですわね。ブローチですか?」
「ヘアピンなんです。モデルさんの誰かが、これを身につけていたようなことは?」
「いいえ。みなさんのお洋服————特にアクセサリーの類はよく覚えていますが、そういったものは……」
「そうですか」
「こちらのモデルさんは、よく、雛町商店街に行かれると伺いましたが」
佐野が聞いた。
「そのようです」
工藤が答えた。
「あなたも?」
佐野は、星来の方を見た。
「いえ、わたくしは、撮影やイベントのとき以外、ほとんど外出いたしませんので。ただ————」
「ただ?」
「お菓子を焼きますわ」
「お菓子?」
佐野は、出された焼き菓子をちらりと見た。
「はい。町のみなさんにお配りするお菓子です。わたくしは、直接はお渡しできませんが、他のモデルの者たちに持たせて、お配りしてもらっていますわ」
「それは、どういった目的で?」
「目的?」
星来は、小さく首をかしげた。
「自社ブランドの、宣伝か何かですか?」
星来は不思議そうに工藤に顔を向けた。
工藤は言った。
「この子たちは天使なんです。ですから、会話をしたり、おいしいお菓子をプレゼントしたりして、町の人たちを笑顔にしたいという性分なんでしょう」
「そういう設定ということですか?」
佐野は聞いた。
工藤は、冷静だが、力強い視線で佐野の顔を見つめた。それから、悠然とソファに沈んで言った。
「うちの子たちは天使なんです」
佐野と相原は黙っていた。
「今の世の中、天使になろうと思えばなれるんです。いろいろと、科学や医療が発達してますでしょう。常識も変わりますでしょう。なりたい自分になるために、必要な手段や、道具は、昔に比べれば、はるかに整えられている。わたくしは、これからの子たちというのは、妖精や魔法使いや、猫や人形にだってなれると信じています。うちの子たちは、生まれたときから天使でした。もちろん、人間界には人間界の掟がありますから、外見や能力を、天界から100パーセント引き継ぐことはできません。けれど、天使の心は忘れなかった。そのために、人間という生き方では、この世の中では浮きこぼれてしまっていたんです。うちの子たちは、ブランドイメージに縛られているわけではありません。宣伝活動のために、天使のふりをしているわけでもありません。初めから、この子たちは天使でした。わたくしは、彼らが社会的な立場を得られるように、肩書きを与えただけなんです。そういう職業を作ったんです」
「あなた神ですか」
佐野はたずねた。
「まさか」
工藤はおかしそうに笑った。
「わたくしが神なら、その、轢き逃げ事件とやらの犯人なんてお見通しでしょう」
「ちょ、ちょっと……。嘘ですよね、佐野さん」
佐野と相原はホワイトヘブンを出ると、すばやく車に乗り込んだ。
佐野はもう一度、雛町商店街へ向かい、マカロニ・エンジェルのモデルたちについて聞き込みを始めると言い出した。
発進の準備を整えた相原は、ハンドルを握った体勢で停止していた。
「被害者が羽のヘアピンを握っていたからって、この会社のモデルたちが事件に関係してるとか思ってます?」
「思ってないよ」
DESUWAにて押しつけられたカタログをめくりながら、佐野は言った。
「え?」
「ヘアピンの持ち主は被害者とは別の人間なんじゃないか……くらいには思ってるけど。だからって天使になりきってるモデルが真犯人っていうのはちょっと飛躍しすぎでしょ」
「じゃあ、なんで……」
「勝さんがさ、殺人だって言ったんでしょ?」
「あ、はい、まあ……そうですね」
「で、あの服屋の子が、雑貨屋だって言ったでしょ?」
「はあ」
「で、あの雑貨屋の人が、マカロニエンジェルだって」
「はい」
「なんか俺たちさ」
「はい」
相原はハンドルを握ったままだった。
佐野は言った。
「何かに導かれてる気がしない?」
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