860.新年もN町へ

「明日ユマさんも同行されるのでしたら、リンも行くそうです」


 夜、相川さんからそんなLINEが入ってきた。


「ユマ、俺明日N町にごみ捨てに行くんだけど……」

「イクー!」

「イー!」


 ユマだけじゃなくてメイまで返事をしてくれた。


「明日は相川さんと行くんだけど、久しぶりにリンさんも一緒に行くんだってさ。この寒いのに健気だよなぁ」


 そう続けたら、タマがメイにココッと声をかけた。メイはなんとなく不満そうな顔になる。リンさんが行くからメイはだめとでも言われたのかな。


「ユマが一緒に行くのはいいけど、メイは止めた方がいいよ。どうしたってごみ処理場は臭うからさ」


 どんなに対策してたって臭いはあるのだ。この辺りのごみをまとめて集積してるんだから。


「エー」


 メイは不満そうな声を上げたが、それだけだった。


「じゃあ明日はユマ、よろしくな」

「ハーイ」


 ユマの「ハーイ」がかわいくて萌えます。俺の萌えポイントがなんかおかしくてどうかとは思う。

 ポチとタマには聞かなかったが、


「ゴミー?」

「ヒロウー?」


 と反応されてしまった。「ごみ」と聞いてどうやら夏のごみ拾いウォークを思い出したらしい。


「ごみ拾いウォークじゃないよ。ごみを捨てる為にある場所に行くんだ」


 ポチとタマはコキャッと首を傾げた。意味がわからなかったようである。


「うーん……ごみ捨てに行くんだよ」


 ココッとポチが首を頷くように動かした。そして思い思いに土間を移動する。ごみ拾いウォークのことではないとわかったらしい。自分たちには関係ないと悟ったんだな。現金すぎて笑えてくる。

 ホント、うちのニワトリたちって面白いよな。

 ふとイノシシの件を思い出した。山唐さんに連絡をしないといけないだろう。

 詳細は明日相川さんと詰めてからでもいいだろうけど、連絡だけはしておこうと思った。


「湯本さんの家から帰宅しました。また明日連絡します」

「わかりました。お待ちしています」


 LINEを送ったら、それほど間を置かずに返信があった。



 翌朝、メイが俺の上に乗ったので捕まえた。

 キョキョキョエエエエ~~~!! とメイが鳴く。ああうん、これこれ。耳が痛い。(物理)


「乗るなっつってんだろーが」


 ぎゅっと抱きしめて羽をわしゃわしゃして解放した。ニワトリは体温高くて、冬はホントいいよなー。


「タマ、そういえばメイがおばさんちの廊下に上がったから、だめだってこと伝えておいてくれ」


 思い出してタマに言ったら、メイはタマにつんつんと指導されてしまった。メイがしゅんとしていたがしかたない。うちの廊下ならともかく人んちはだめなのだ。

 朝ごはんを用意し、十時頃に出かけることにした。

 軽トラの荷台には捨てる物を一応簡単に分別して載せた。処理場行ったら自分でごみを下ろすことになるし。

 ポチタマメイはさっそくツッタカターと遊びに出かけた。


「何も狩ってくるなよ」


 と釘を刺したら、ポチにブスッとつつかれた。ひどい。全く困ったニワトリである。どんだけ好戦的なんだよ?

 相川さんに連絡を入れ、助手席にユマを乗せて軽トラを発進させた。


「よーし、行くぞ! しゅっぱーつ!」

「シュッパーツ!」


 ユマがこうやって付き合ってくれるのがたまらなく嬉しい。ユマには半纏を着てもらい、後ろにファスナーをつけてもらった。着ぐるみに見えるようにである。ごみ処理場では鳴かないように言ってある。

 ま、ごみ処理場の受付のおじさんたちもいちいち覚えてないだろうけどな。念の為だ。

 相川さんの軽トラはニシ山の麓から道路に出たところで待っていた。軽くクラクションを鳴らして先導してもらう。

 まずはごみ処理場へ向かった。

 受付で一台ずつ量ってもらい、中に入る。

 燃えるごみのピットがあるところは相変わらず臭う。まぁしょうがないよな。

 相川さんと手早くごみを捨て、不燃ごみ置き場、粗大ごみ、資源物置き場と移動し、最後また軽トラを量ってもらった。


「うわっ! あ、ああ、着ぐるみか……」


 受付のおじさんがユマを見てびびった。ファスナーは確認しなかったみたいだけど着ぐるみだと思ったらしい。


「兄ちゃん、その着ぐるみビビるから止めてくれよ~」

「いやー、気に入ってるみたいで」


 中に子どもがいるようなフリをして、ごみ処理場を出た。あのおじさん、前もいたのかもしれない。着ぐるみと認識してくれてたならいいだろう。


「クサーイ」


 道すがらユマが不満そうに言った。


「臭いって知ってるだろ? でもさ、ああやって処理してくれる施設があるから、俺たちは清潔でいられるんだよ」


 感謝は忘れないようにしないとな。


「セイケツー?」


 ユマがコキャッと首を傾げた。


「そう、キレイでいられるのもああいう施設があるからなんだよ」


 臭いって言ってもいいけど、ありがたいと思わないとだな。

 いつもの駐車場に軽トラを停め、ユマには運転席に移ってもらった。それで窓を少しだけ開ける。リンさんは温かそうなもこもこのコートを着てマスクをしていた。臭い対策だろう。


「ちょっと買物行ってくるなー。リンさん、ユマを頼みます」


 リンさんは頷いた。


「ユマさん、リンをお願いします」


 ユマはそれにココッと鳴いて答える。

 そして俺は相川さんとスーパーへ向かった。


「佐野さん、この後うちに来ませんか?」

「え? まぁいいですよ」


 お昼ご飯の弁当を取り、他に村では買えないものを沢山買って軽トラに積む。でかいクーラーボックスを置いてあるから、少しぐらい相川さんちに寄っても問題はない。


「ユマ、お待たせ。これから相川さんちに行くぞ」


 ユマはそれにココッと返事をしてくれたのだった。



次の更新は、23日(火)です。よろしくー


もしかしたら今日明日中になんかお知らせありますー(謎



誤字脱字報告は止めてください。

キャラの名前が変わってるとかは指摘していただけると土下座する勢いなんですが、それ以外は不要です。

概要にも記載しております。どうぞご確認ください


「誤字脱字に関して」

https://kakuyomu.jp/users/asagi/news/16818093081582887529

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