第13話 遊園地デート
昨日は早く寝たので、早起きをすることができた。
起きて、服を着替えていると、紗奈先輩からラインが来た。
「今日も駅に来てね」
僕は「了解です」のスタンプを送って、朝ご飯を食べてから、出かける準備をして、駅に向かった。
駅についてしばらく待っていると、紗奈先輩が僕の肩を触ってきた。
「あやちゃんおはよう」
「紗奈ちゃんおはよう。髪型似あってるね」
「ありがとう」
紗奈先輩は喜んでいた。
そして、慣れた手つきで電車に乗り込んだ。
今日の電車の中は少し混んでいたため、話すことはためらったが、紗奈先輩と肩は組んでいた。
遊園地から一番近い駅に降りてからは、紗奈先輩と話した。
「少しあやちゃんに聞いてみたいことがあるんだけど、あやちゃんは私のことかわいいと思う?」
紗奈先輩が首をかしげて聞いていた。
「もちろんかわいいと思っているよ。それにかわいいだけじゃなくてかっこいいとも思っているよ」
紗奈先輩は「ありがとう」と言って、「あやちゃんもかわいいよ」と言った。
20分ほど歩くと、今日行く予定の遊園地に着いた。
少し混んでいたため、入場券を買うのに15分くらい並んだ。
受付の料金表を見てみると、確かに料金が500円になっていた。僕は財布から500円玉を一枚出して、紗奈先輩に渡した。
そして、紗奈先輩が僕の分も入場券を購入した。そして、入口の前で紗奈先輩から入場券をもらった。そしてその入場券を入場ゲートに通して、入場した。
僕がこの遊園地に行くのは6年ぶりだったので、懐かしい感じもあった。
「あやちゃんは何か乗りたいものとかある?」
「今考えてるけど、あとそこにあるパンフレットもらっていかない?」
紗奈先輩は「うん」と言って、パンフレットを二部取りに行った。そのうち一部は僕に渡した。そして、二人でそのパンフレットを見て、何に乗るかを相談した。
「このちびっこコースターとか乗ってみる?」
紗奈先輩がパンフレットの小さいジェットコースターの項目に指をさしていた。かわいらしいジェットコースターだった。これなら小学生の時にも何回か乗っていたので、怖くない。
紗奈先輩に僕が絶叫している姿は見せられないので、このジェットコースターなら大丈夫だと思っので、紗奈先輩のほうを向いてうなづいた。
そのジェットコースターは100円で乗れるので、財布にも優しかった。
しかし、そのジェットコースターは少し混んでいた。
それでも僕たちは乗ることにした。
待ち時間の間は紗奈先輩と話していた。
「そういえば、あやちゃんはどれくらいジェットコースターとか乗ったことあるの?」
「僕はこのジェットコースターなら何回か乗ったこともあるし、大きいジェットコースターも一回だけ乗ったことがあるよ」
「私はあやちゃんよりも乗ったことがあるよ。この遊園地入場料金安いから、結構お世話になっているんだよね。私けっこう友達がいるんだけど、あやちゃんみたいに守ってあげたいと思っている人は他にはいないよ」
僕は紗奈先輩にとって僕が特別な存在であることがわかって、とても嬉しかった。
「僕も紗奈先輩と一緒にいると、楽しいよ。これからもずっと紗奈先輩と一緒にいたい」
紗奈先輩は僕の言葉を聞いて、うれしいように見えた。
ふと気が付くと、列の前のほうまで来ていた。
そして、僕たちの順番が来た。
先ほど買っていた100円分の乗り物券を係員の人に渡した。
そして、一番前の席に案内された。
席に座って、安全ベルトと安全バーを着けると、紗奈先輩が僕に「このジェットコースター少し短いからその短い間に楽しもうね」とささやいた。
「それでは出発します。安全バーにしっかりつかまってください。それでは楽しんで!」
係員の案内があった後、ジェットコースターはすぐに動き出した。
ジェットコースターが最高点まで上がると、あの頃の楽しさを思い出した。しかし、その思い出した時より、今日のほうがより楽しかった。
ジェットコースターを乗り終えると、紗奈先輩に「次は大きいの乗ってみる?」と聞かれたので、僕は紗奈先輩にうなづいて、大きいジェットコースターにも乗ることにした。
正直なところ、僕の絶叫で嫌がられないか心配だった。
大きなジェットコースターまでは少し距離が離れていたので、紗奈先輩と手をつないで移動した。そして、券売機で今度は200円の乗り物券を二枚買って、大きなジェットコースターの列に並んだ。
「あやちゃん、少し待つ時間長いと思うから、しりとりしない?」
紗奈先輩にしりとりを勧められたので、紗奈先輩としりとりをすることにした。
僕が「プリン」と言ってしまうと、紗奈先輩が「アウト!」と笑って言った。列の前のほうに来ていたので、この時点でしりとりを終了することにした。
僕たちの順番が来ると、荷物をロッカーに入れて、またもや一番前の席の通路側に座った。隣の席にはもちろん紗奈先輩がいる。
「一回しか乗ってないから緊張してきた」
僕がそう紗奈先輩に不安がって言うと、紗奈先輩は「私は何回も乗ったことがあるから、全然平気だよ」と笑顔で僕に話した。
そして、係員の案内があった後ジェットコースターが動き出した。
頂上に行くまでは怖かったが、頂上を超え下りだすと、その怖さは逆に楽しさにも変わった。そのまま最初の場所に戻るまで楽しさは続いていた。
ジェットコースターが停止して、紗奈先輩と二人で降りると、紗奈先輩は「楽しかった?」と聞いてきたので、僕は「楽しかったよ」と答えた。
ジェットコースターの場所を後にすると、紗奈先輩は「あやちゃんは何か気になるものとかあるの?」と聞いてきた。
僕はパンフレットを見て、お化け屋敷が気になった。
「紗奈ちゃん、お化け屋敷とか行かない?」
すると、紗奈先輩は少し戸惑ったが、うなづいてくれた。
お化け屋敷は運がいいことにすいていて、ものの3分ほどで入ることができた。
中に入って、数秒経つと、大きな音がした。
僕は怖いものには多少は大丈夫だが、意外にも紗奈先輩は怖いものは苦手らしい。
紗奈先輩は僕の手を強く握っていた。
そして、正面にお化けの絵が映し出された瞬間、紗奈先輩は僕に抱きついてきた。
「私、怖いの苦手なの」
僕は紗奈先輩に言われて、怖いものが苦手じゃないか聞いておくべきだったと後悔した。
しかし、紗奈先輩は「あやちゃんに抱き着くと怖いのがまだ少し大丈夫になるから、このままでいさせて」
僕は「いいよ」と言って、次の部屋に進んだ。
その部屋の中に入ると、急に涼しくなった。この部屋から今までとは違う感じになっていた。ゾンビも出てくるようになったので、紗奈先輩はさらに怖がっていた。
それでも僕たちは奥に進んでいった。
部屋を5つほど進むと、最終コーナーみたいなところについた。そこは、とても怖かったので、紗奈先輩も悲鳴を出してしまったが、それでも何とか最終コーナーを超えることができた。
最終コーナーを抜けると、紗奈先輩が僕から手を離した。そして顔を真っ赤にした。
「あやちゃん、先に言わなくてごめんね」
「こちらこそ言える環境を作らなくてごめんね」
すると、紗奈先輩が「これも一つの思い出になったよ」と答えた。それと同時に、紗奈先輩のお腹が鳴った。
僕もお腹がすいていた。
「ご飯食べに行こう」
「うん。食べに行こう」
「紗奈ちゃんは何食べたいの?」
「私はまだ決まってないよ」
「紗奈ちゃん、この地図の中から探してみない?」
紗奈先輩と二人で地図を見ると、美味しそうな焼きそばの写真がある店に行くことにした。
そこまでは5分ほどで着くことができた。
その店のメニューを見てみると、焼きそばなどの屋台系の料理が載っていた。
「あやちゃんは何食べたい?」
「僕は、やっぱり焼きそばかな~」
「私も焼きそばにしようと思った。あと、飲み物は何にする?」
僕は飲み物のことは考えていなかったので、
「紗奈ちゃんのお任せでいいよ」とお願いした。
そして、紗奈先輩が二人分のご飯を買っている間に、僕は席を探していた。
待っている間は、屋外だったので暑かった。
紗奈先輩が来ると、紗奈先輩は「あついね~」と言いながら、二人分の焼きそばと、緑茶を机の上に置いた。
そして、たこ焼きも買ってきていた。
「あやちゃんもたこ焼き食べてもいいからね」
「ありがとう」
そういって、紗奈先輩と焼きそばとたこ焼きを食べた。
ここの焼きそばはソースがとても美味しかった。
「紗奈ちゃん、この焼きそばソースがとてもおいしいね」
「確かにおいしいね」
「そういえば、食べ終わったらお金返すね」
「よろしく!」
僕が焼そばを食べ終わると、紗奈先輩に焼きそばの料金と、たこ焼きの料金を渡した。
すると、たこ焼きの料金を返してくれた。
「たこ焼きは私のおごりにするから、その分のお金返すね」
僕は紗奈先輩から返されたお金を財布に入れて紗奈先輩と次に何に乗るか相談しながら移動した。
「紗奈ちゃんはなりか乗りたいのとかあるの?」
「う~ん、私はメリーゴーランドとかかな。あやちゃんは何か乗りたいものとかあるの?」
「僕は観覧車かな~でも、それは夕方に乗りたいな~」
「じゃあまずメリーゴーランドから行かない?」
「いいよ」
紗奈先輩と少し離れたメリーゴーランドまで歩いた。
メリーゴーランドの近くにつくと、少し混んでいるのが見えた。
待ち時間を確認すると、50分となっていた。
「あやちゃん、少し待つの長いけど、それでもいい?」
「もちろん。紗奈ちゃんがいいなら」
「ありがとう」
そして、券売機でメリーゴーランドの乗車券を買ってこの長い列に並んだ。
列に並んでいる間は、紗奈先輩と文化祭のことについて話した。
そうすると、あっという間に時間は過ぎて、僕たちの順番が来た。
「紗奈ちゃん、あっという間だったね」
「どこに座る?」
「馬車とかにする?」
「いいね!」
「しかもちょうど空いていたよ」
僕たちは、そこの席に紗奈先輩と向かい合わせに座った。
そして、かわいらしい音楽とともに馬車が動きだした。
「なんかいい感じだね」
紗奈先輩の言葉に僕も共感した。
5分ほどたつと、徐々に減速していって、最終的には止まった。
「楽しかったね」
紗奈先輩は微笑んでいた。
「うん。また機会があったら乗りたいね」
今の時刻を確認してみると、午後4時ごろになっていた。
「紗奈ちゃん、観覧車に行くまでの間に、一回迷路に行こう?」
「うん、まだ夕方まで時間あるからね」
僕たちは、観覧車のコーナーの近くにある迷路を目指して歩き出した。
迷路は幸いなことにすいていた。
小さなときに一回だけこの迷路にはいったことがあるが、月に数回迷路のパターンが変わっているらしいので、昔の記憶を頼りにすることはできなそうだ。
係員に二人分の200円の乗り物券を渡すと、万が一迷子になったときに係員を呼び出せる端末を受け取った。
借りた端末のストラップを紗奈先輩が首にかけると、「いってらっしゃいませ」と店員さんが送り出してくれた。
中に入ってからしばらくの間迷路を進んでいると、迷子になっていると感じた。
「紗奈ちゃん、リタイアする?」
「もう少し頑張ってみよう」
もう少し迷路を進んでみることにした。
しかし、それでもゴールは見つからなかった。
「迷子になっている場合は緊急通話ボタンを押してください」
いきなり紗奈先輩が首にかけている端末がしゃべりだして、僕たちはびっくりした。
「あやちゃん、リタイアでいい?」
「あと5分だけいい?」
「それでもだめだったらリタイアね」
紗奈先輩は端末のキャンセルボタンを押した。
そして、ゴールを必死に探した。
すると、いきなりゴールに行くことができた。
「あやちゃん、やったね!」
紗奈先輩はとても喜んでいた。
「紗奈ちゃん、良かったね。僕もうれしいよ」
「あやちゃん、観覧車に乗りにいかない?」
「うん、そうだね。忘れるところだった」
僕たちは観覧車のコーナーに行った。
観覧車の並ぶ列にはカップルが何組も並んでいた。しかし、待ち時間は5分だったので、待つことにした。
券売機で400円分の乗車券を購入して、観覧車の列に並んだ。
5分ほどで観覧車に乗ることができた。
観覧車の外の色は赤色だった。
中に乗ってからはしばらくの間は何も話さなかったが、頂上に来た時に紗奈先輩が席からたった。
「屋上でキスしよう」
僕は生まれてから一度とキスをしたことがなかったが、紗奈先輩なら大歓迎だと思った。
僕も席から立って、観覧車がちょうど真上に来る直前でキスをした。
そして、数秒後にお互いの顔を離した。
観覧車を降りるまでの間は恥ずかしかったので、紗奈先輩とは話さなかった。
観覧車を降りると、紗奈先輩が「今日一日楽しかったよ。あやちゃんありがとう」と僕に話しかけたので、「紗奈ちゃん、こちらこそ今日は楽しかったよ。また僕と遊びに行こうね」と紗奈先輩にお礼を言った。
「最後にプリクラ撮らない?」
紗奈先輩に聞かれたので、僕はうなずいた。
ここのプリクラは600円だった。
「紗奈ちゃん、300円ずつ出そう」
僕が紗奈先輩に300円を渡した。
「ありがとう」
そして、二人でプリクラをとった。
写真が印刷されると、二人で分けて、遊園地の閉園時間も近づいていたので、紗奈先輩とともに遊園地を後にした。
遊園地を出ると、紗奈先輩に「今度の水曜日空いてる?」と聞かれたので、「空いてるよ」と答えた。
「私の友達とカラオケに行く約束をしているけど、あやちゃんも行かない?」
「僕も行ってもいいの?」
「もちろんだよ。だけど、今度は前と違って、玲子とめぐみの彼氏も来るけどそれでも良ければ」
「ありがとう」
「あと、制服持ってきて午後から制服着てカラオケやろう」
「それじゃあ制服持ってくるね」
そして、僕は来週水曜日のカラオケに行くことになった。
帰りの電車の中では疲れてしまって寝てしまったが、ひとつ前の駅で紗奈先輩に起こしてもらえた。
「あやちゃん起きて。次で降りるよ」
「紗奈ちゃん、ありがとう」
そして帰ってからは早めに寝ることにした。
寝る前に紗奈先輩に「おやすみなさい」とラインを送った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます