第24話

「シッ」

 

「良いぞッ!良いぞッ!」

 

 幾万の人間の魂が僕の手に持つ聖杯から流れ落ち、黒いヘドロとなって再更新へと絡みつく。

 だが、こんなもの最高神を一時的に止めることも出来ない。

 止めぬよりはマシの精神で、バカスカ持ってきた品々をばら撒きながら黄金のオーラを持った最高神の肉体より出される拳を回避する。

 拳を避け……短剣をの腕に突き刺すも……弾かれる。

 かてぇ。


『しっかり刺しなさいよ!』


『刺してる……ッ!』

 

 僕は頭の中に響いてくる声に対して怒鳴り返す。


「……ァ」

 

 そんな時。


 キュ。


 自分の額から流れ落ちた汗を僕は踏み抜き……足をもたれさせ、姿勢を崩す。


「これで終いか」


 致命的なまでの隙を晒した僕に向かって最高神は拳を向ける。


「ここォ!」


 最高神の拳が僕を打ち付ける中、僕は身を乗り出して短剣を握る。肉を切らして骨を……絶つッ!


「チェックッ!」

 

 僕は短剣を最高神の心臓へと突き刺す。

 空間魔法が発動し、法則が最高神を襲う。

 これ……でぇ……。


「え……?」

 

 心臓を貫いた僕の短剣。

 確実に最高神は死んだ……そのはずだ。


「ごっぷ」

 

 しかし、何故かは最高神は平然としており……僕のお腹を。

 

 最高神の腕が貫いていた。

 

 口から血が溢れ、空いた穴から大量の血が溢れ出る。


『おい!?』

 

 頭から聞こえてくるの声……それが遥か遠くより聞こえてくる。

 意識が暗く沈み……視界が暗闇に包まれる……。


「残念であったな。余の世界魔法は『永遠』。余がこの世から消えることなど永遠にないのだよ」

 

 ■■■■■


「エルピスッ!!!」

 

 崩れ落ちたエルピス。

 それに対していの一番に行動を開始したのはリーリエだった。

 その場を駆け抜け、エルピスの方へと向かっていく。

 己の使える……不得意な他者への回復魔法を必死にエルピスに掛けながら、近づいていく。


「ふむ……」

 

 最高神の視線がリーリエの方へと向けられる。


「煩わしい女は嫌いぞ。……死ね」

 

 最高神の意識が……倒れたエルピスからリーリエへと映る。

 その瞬間。



 バンッ 


 

 厳かな宮殿……崩れ、壊れたこの空間に一つの銃声が響いた。

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