第20話

「そ、そんな……」


「うそだ、ろ……」


「……ッ」


「えっ……」


「貴様ァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 アルミスとサブマとリーリエとラザリアは驚愕と絶望、恐怖、困惑……様々な感情が混ざりあったような表情を浮かべている。

 そして、マキナは殺意を漲らせた視線を僕の方へと向けてくる。


「アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!それだよそれッ!その顔が見たかったんだよ!!!その表情をッ!ヒーッヒッヒッヒ。全部滅んでしまえば良い!こんな世界!狂った世界!アハハハハハハハハ!」

 

 僕は狂ったように……狂い、荒れ狂いながら笑い、大きな声を上げる。


「そんなッ……!なんで!」


「……アッハッハッハッハッハッハッハッ!最高ッ最高だよ!!!」


 狂った世界。

 間違った世界。

 希望のない世界。

 弱肉強食、弱ければ生き、強ければ死ぬ。

 それがこの世の理であり……どれだけ時代が進んでも変わらない。現代の地球でさえもそうだったのだから。

 人権、弱者を守る……弱者が守られるなんてありえない。ただ単に元々弱者だった人間が同情を集め、多数者となり、強者になっただけ。代わりに元々差別していた人間が弱者となって落ち、人間の醜悪さを垣間見る。

 

 アレイスター家は絶対的な強者であり、絶対的な弱者なのだ。


「なーんちゃって」

 

 僕はマルボリの心臓部を右手で貫く。

 アレイスター家は絶対的な力で人間の世界を守る……個人なのだ。

 どこまで言っても。


「ケラケラ。僕はみんなのその顔が見たかっただけだよ……っとォ!!!」

 

 僕はマルボリに大量の魔力を流し込み……そのまま自分の空間へと吸収し、一つとなる。

 ゲームでエルピスが魔王を取り込んだのと同じように。


「ふー。これで完成」

 

 邪神と混ざりあった僕の格は……人間から神へと上がり、神の力を手に入れる。

 

「あっ……え?」

 

 理解出来ないみんなと……一人立つ僕。

 そんなこの空間に。



『やはりそうか』

 

 

 一つの声が響く。

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