第16話

「何を……何を何を何を言っているのッ!?」

 

 僕の話した昔話に対して強い反応を示したのはアルミスだった。

 当然だろう。


「そんなこと……ッ!あるはずが!?」


「そんなことあるよなぁ……サブマ?」


「え?」

 

 いきなり話を振った僕に対してサブマは驚き、視線をこちらへと向けてくる。


「だって、お前は今もこうして立っているし……リーリエやラザリアだって生きている。あの邪神相手に、だ。舐めるなよ。邪神とは絶対の存在だ。神とは人間では決して手の届かない存在だ。三人が今も生きているなんてありえないんだよ。……邪神が三人を殺す気がない限りね」


「「「あっ……」」」

 

 僕の言葉を聞いて無事だったサブマとリーリエとラザリアは、自分の体へと視線を向けて一言つぶやく。


「こんなもの、ただの茶番だ。邪神がこれ以上人に迷惑をかけないための、ね。……なぁ、サブマ。お前はそんな可哀想な邪神を殺すの?」


「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええ!!!」

 

 サブマが僕の言葉に答える前に、アルミスが叫ぶ。


「嘘だッ!嘘だ!そんなこと!!!それなら……ッ!それならなんで私はッ!?」


 アルミスは体を震わせ、叫ぶ。叫ぶ。叫ぶ。叫ぶ。


「……アルミス」

 

 そんなアルミスを見てマキナが表情を歪める。

 

「ふふふ。僕はハッピーエンドが好きなんだよ?ちゃんと君もハッピーにしてみせるさ」

 

 僕はアルミスの元へと向かって歩いていく。


「何故君だけが悪魔に堕ちていたのか。それは女神がアルミスの封印術に期待したからに他ならない。君の力であれば悪性の邪神だけを封印出来るかもしれない、とね。……とはいえ、結局君の力は封印出来るまでにならなかったし、そもそもの話、悪性の邪神が今、この場に居なければ封印もクソもない。……だけど安心してほしい!」

 

 僕は空間魔法に収納されている……気絶している悪性の邪神、マルボリを取り出して見せる。


「ッ!?!?」


「ここに悪性の邪神も居るし……僕がアルミスの封印術のサポートをすればちゃんと問題である悪性の邪神を封印出来て、君は女神を助けることが出来る。女神が自殺しようとしている理由は悪性の邪神が力を取り戻すよりも前に自分が死んで、命が繋がっている悪性の邪神を殺そうとしているわけだからね」


「ッ!!!」

 

 アルミスの表情が荒れ狂う。

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