第14話

「……」


「……」


「……」


「……」


「……」

 

「ふんふんふーん」


 沈黙の中、僕の鼻歌がこの場に響き渡る。

 この場にいる全員のなんとも言えない視線を僕は向けられながら、鼻歌を歌いながら読書に勤しむ。

 ここは図書館。

 本ならいくらでもある

 ここなら何時間でも時間を潰すことが出来るだろう。


「……何を、しているんですか?」

 

 僕の鼻歌だけが響き渡る沈黙を破って、おずおずとリーリエが僕へと尋ねてくる。


「見てわからない?本を読んでいるんだけど」


「いやいや!?逆に聞くけど、今の状況見えていない!?」

 

 僕の言葉に対してラザリアが叫ぶ。

 それを聞いた僕はわざとらしく視線をぐるりとさせた後、首を傾げる。


「ん?なんで僕がただの女の自殺に付き合ってやらないといけないの?」

 

「……ッ!?!?」

  

 僕の言葉を聞いてマキナが驚愕するが、それを無視して僕は話し続ける。

 ……マキナ以外の面々は僕の言葉を上手く飲み込めていないようだった。


「母親を自分の手で殺した僕は人を殺すことに対して特に忌避感とはないからねー。別に自殺の計画のためにどれだけ他人を巻き込んでいても気にしないからねぇ。殺されたのは当人の力不足だよね。うん」

 

 僕は一人で全てを置いて話し始める。

 この場は何も変わっていない。

 まだ邪神であるマキナも健在。僕の手によってリーリエとラザリアが起きて、その後すぐに僕が本を読み始めたせいで、この場には何とも言えない雰囲気が漂っている。

 既にこの場の主導権は僕が握っている。


「……え?え?」


「なにを……言って?」


「アレイスター家……ッ」


「……何を?」

 

 困惑している面々を見ながら僕はニヤリと


「あぁ……ごめんごめん。じゃあ……昔話と行こうか」

 

 本を空へと打ち上げ、偉そうに足を組む。


「最高神の手によって邪神へと墜とされた哀れな神の話をね」


「どういうッ!?」

 

 僕のヘラヘラとした言葉を聞いたアルミスが僕に掴みかかってくる。


「黙って聞けや」

 

 掴みかかってくるアルミスを僕は押しつぶして、一言耳元で呟く。

 

「さぁーて。何から話し始めようかな?」

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