第12話
全ての悪魔を殺し終えた僕とアルミスは学院内を走る。
「……ッ」
険しい顔をしながら走っているアルミスの横顔をぼーっと眺めながら、僕もアルミスに並行して走る。
……んー、まだちょっと早いか……?
「ストップ」
僕はアルミスの腕をつかみ、動きを強引に止めさせる。
「キャッ。何をするの!?」
「ん?言っているじゃん。ストップって。止まってほしいから止めたんだよ」
「……なんで止まるのさ。早く……!早く私は行きたいんだけど……」
アルミスは焦ったような表情を浮かべ、僕を非難するような視線を向けてくる。
彼女の焦る気持ちもわかる。彼女は、アルミスは……元々マキナに、邪神に仕える天使だったのだ。
天使とは神に仕える者。
マキナは、邪神は、元々神の一柱であり、多くの天使の頂点に立っていた神の一柱であり、アルミスの仕えていた神だったのだ。
邪神とは神が悪の心に侵されたときに誕生するのだ。
そして、悪魔は天使が悪の心に侵されたときに誕生するのだ。
マキナはアルミスが誰かからの襲撃を受けて眠っているときに邪神へと堕ち、マキナに付き従っていた天使たちはみんな悪魔へと堕ちた。
アルミスは一人取り残され、彼女は邪神と悪魔を滅ぼすために生きてきたのだ。
そして、今。邪神に手が届きそうになっている。
この状況で焦るなと言う方が酷だろう。
だが、僕にしたがってもらわないと困る。
早く行き過ぎたら僕の計画に支障が出てしまうのだ。
「言っておくけど、僕は、アレイスター家は君よりもずっと前に、邪神誕生のときより、計画を練っているんだ。大人しく従って。君になにか策があるの?」
「……」
僕の言葉を聞いてアルミスが沈黙し、顔をしかめる。
「わかったわ……そうね。あなたを信じるのが一番よね」
僕の言葉にアルミスは頷く。
それからしばらく。
「そろそろ良いかな」
二、三分ほど待った後、僕は一言つぶやく。
「……ッ!」
それを聞いてアルミスは弾かれたように顔を上げる。
「じゃあ、行くよ。魔法でサクッと向かっちゃうからね」
「……え?」
僕は転移魔法を発動し、マキナのいるところへと転移した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます