第10話

 僕たち……生徒会メンバーにサブマ達三人を加えた僕たちは学院内を走っていた。


「なるほどね。では、図書館の司書であったマキナが邪神で、この事態を引き起こしたってことだね」

 

 僕は混乱の渦にある学院を眺めながらサブマに確認を取る。

 今、学院は敵の襲撃にあい、大混乱となっているのである。


「そう、だ……」

 

 サブマは顔をうつむかせて僕の言葉に頷く。

 

「そうか」

 

 マキナが邪神。

 そんなことは最初から知っている。とっくの昔にアレイスター家の先祖が掴んでいる情報である。

 ようやく彼女が動いたか。……予定より一日ほど早かったな。

 

「……悪魔が襲いかかってきている。ちょっとやばいな」

 

 今、この学院を襲っているのは悪魔たちだ。

 マルジェリアが封印術を駆使してなんとかしているものの、数が多い。普通の生徒では歯が立たないため、犠牲者が増えている。

 

 ……悪魔たちがここを重点的に狙ってくれるとは、運が良い。

 もうちょっと派手にやるかなって思ってたんだけど……僕の知らないゲームでの分岐、主人公とマキナのフラグが関係しているのかな。

 

 悪魔とはマキナの、邪神の配下。

 彼女の命令一つでその動きを変えるだろう。

 

「さっさと殲滅しようか。……みんなは待機。アルミス。結界の準備が出来た。暴れていいよ」


 僕は隣にいるアルミスに向かってそう告げる。

 そのタイミングで学院内を僕の貼った結界が覆う。

 悪魔を閉じ込め、動きを阻害し、天使の力を増大させる結界だ。


「任せて!」

 

 僕の言葉にアルミスは頷き……一切の躊躇なく天使との姿を晒して

 

「「「は?」」」

 

 初めて天使モードを見た生徒会メンバーやサブマたちが驚愕する。


「悪魔どもは僕とアルミスで殲滅しておくから、マキナのもとにはみんなで先に向かっておいてよ。殲滅してから僕たちも向かうからさ」

 

 僕は呆然としている面々に告げる。


「悪魔程度。すぐに片付くから」

 

 僕の視界に映っている十数体の悪魔がねじれ、真っ赤に染まった。

 悪魔程度であれば僕の障害物にもならない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る