第34話
「遅い」
「小癪なッ!」
僕の刀とレイハの剣が激しくぶつかり合う。
空間魔法が施された魔法の剣と神の力を宿したレイハの聖剣。
それが互いに……激しくぶつかり合う。僕の空間魔法がレイハの持っている聖剣の神の力を削って聖剣を斬り裂き……聖剣が神の力でもって再生する。
「ちょこまかとッ!!!」
レイハの戦闘技術。
それは実に素晴らしいものだ。鍛えあげられたその技術は至高の領域に近く、一切の無駄がない。
しかし、長い間戦っていなかったのだろう。
既に勘など鈍るどころか消滅し、ただただ己の技術に合わせて剣を振るだけで、戦いに対する工夫など一つも存在しない。
僕は空間魔法を駆使して飛び回り、淡々とレイハを追い詰めていく。
「クッ……」
神の力は無限ではない。
再生するのにも時間がかかる。こうしてちまちまと削っていけば僕の元へと自ずと勝利が転がり込んでくるだろう。
「クッ……忌々しい……このままでは……ッ!!!」
それくらい。
今のレイハであってもわかるだろう。
「どこまで……ッ!どこまで……ッ!どこまで……ッ!!!」
レイハは体を震わせて僕のことを睨みつける。
「私に秘匿していたのだッ!!!アレイスターッ!!!」
我慢ならぬと言わんばかりにレイハは叫ぶ。
レイハにとって今の状況は予想外なのだろう。自分がアレイスター家を前に苦戦していると言うこの状況は。
本来、自分はアレイスター家よりも格上の存在のはずだったのだから……。
そんなもの。
遥か前からに決まっているだろう。
無限の時を生きるレイハを殺すためにアレイスター家がどれほど技量を積んだと思っているのだ。
「悪いけど……このまま押し切らせてもらうよ」
僕は刀をレイハへと向け、不敵に告げる。
負ける気はこれっぽちもしていない。
「調子に乗るなァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
レイハは叫ぶ。
「アレイスタァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
あらん限りの声量でもって。
叫んでも何も変わらない。
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