第33話
「死になさいッ!」
レイハが宙から聖剣を引き抜き、
神の力を宿したものを空間魔法で吹き飛ばす事はできない。
まだ……僕には神の力に対して圧倒的な力を持って対処することは出来ていなかった。
「ふっ」
僕はレイハの攻撃を回避し、すれ違いざまに膝蹴りを叩き込んでやる。
帰ってきた感触。
それは柔らかな女の肌を蹴ったものとは違い……鉄のように硬かった。
「無意味よ」
いつの間にかレイハの体を鎧に覆われていた。
美しい白銀の鎧を身に包み、虹色の刀身を持った聖剣を持っている一人の女性。
それはまさに邪神と激しい戦いを繰り広げた神話に語り続けられている勇者の姿そのものであった。
当時。遥か昔。
アレイスター家はレイハに対して敗北した。
だからこそ、個人主義であり自らの土地のみに固執するアレイスター家がレイハとともに動いたのだ。
「……昔とは同じとは思わないことだな」
僕は何もないところから一振りの刀を引き抜く。
黒い刀身のシンプルな刀を。
「あいにくアレイスター家は常に進歩し続けているんだよ。君にも隠れて、ね」
僕は刀を二振り。
「……ッ!?」
僕の体は突如として現れたレイハによって精神を乗っ取られて、操られている騎士を……神の加護を受けている騎士を容易く斬り裂く。
騎士たちを一瞬で退場させる。
空間魔法をただ斬るだけに特化させれば、神の力であってもなんとか崩すことができる。
レイハと戦うためだけの戦闘方法だ。
「……アレイスタァァァァァァァァァァァァァァァァ……私に隠れて何をッ!!!あぁ……!やはり、だめだ。駄目だ駄目だ駄目だ。あなたに優秀な女との子供を作らせた後、その子の教育は自分がしましょう。教育を任せるなんて甘いことをしたのが失敗だったのよ……」
「なんでお前なんかにアレイスター家を任せなきゃいけないんだよ」
僕は刀を構える。一切の油断なく。
「それが最善だからよ」
それに対抗するようにしてレイハも構える。
「たわけ。一体。今、何年だと思っているんだ」
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